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「薬剤師職でドラッグストアへ転職するならどのドラッグストアがいい?」「ドラッグストア薬剤師になる注意点も知っておきたい」そんなお悩みを持つ方向けの記事です。
実は、ドラッグストアは企業によって年収に幅があります。残業や福利厚生も企業によって差があり、転職先を選ぶ際には、あなたの希望と合うか、よく検討が必要です。
この記事では、ドラッグストア大手8社の年収・残業・キャリア・福利厚生の比較から、ドラッグストア薬剤師として転職した場合のメリット・デメリットと将来性についても解説しています。
この記事を読むことで、ドラッグストアか調剤薬局かその他か、薬剤師としての転職先を選べるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

Dora
元 調剤薬局 薬剤師
現:ドラッグストア薬剤師

20代後半(勤務3年6ヶ月)で在宅メインの調剤薬局から大手ドラッグストアへ転職。「年収200万円UP」を実現。
転職理由は「キャリアアップの機会損失」。転職後は薬局長を務める。
「世の中働き方、いい条件の職場は結構あるものだと。1度きりの人生なので1つの職場に拘らず、これからの人生が豊かになるのなら試しに転職活動だけでもやってみるのがおすすめです。」
薬剤師の転職先|ドラッグストアおすすめ8社比較
ここでは、主要8社を比較し、特徴を整理してご紹介します。
ドラッグストア名 | マツモトキヨシ | ウェルシア | ツルハドラッグ | スギ薬局 | ココカラファイン | クリエイトSD | サンドラッグ | イオン薬局 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
ロゴ | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() | ![]() |
平均年収 | 555万円 | 559万円 | 522万円 | 558万円 | 556万円 | |||
残業・休日 | 117日 | 118日 | 113日 | 116日 | 117日(年1回5連休) | 117日 | ||
キャリアパス | 店長、SV、本部ほか | 調剤リーダー、地区長ほか | 薬局長、教育担当ほか | 管理薬剤師、本部ほか | 管理薬剤師、エリアマネージャー | 薬局長、調剤エリアマネージャー | 管理薬剤師、店舗責任者 | 管理薬剤師、調剤トレーナー |
子育てサポート | 時短小3まで | 時短小3まで | 時短あり | |||||
研修制度 | 店長研修、SV研修ほか | ウェルシアアカデミーなど | 毎週勉強会 | ベーシックセミナー 専門領域研修 | 段階的な研修制度 | 基礎研修 リーダーシップ マネジメント | 基礎研修 専門研修 | |
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※企業比較はOpenWork、薬コミ、メディコなどの薬剤師口コミサイトの口コミを総計して作成してます。
マツモトキヨシ

マツモトキヨシの薬剤師の平均年収は約555万円で、業界平均より若干低い水準です。年俸制を採用しており、賞与は年俸に含まれます。
勤務時間はシフト制で、年間休日は117日。残業や休暇取得の状況は、店舗により大きく異なるのが実態で、休みが取りづらいと感じる人もいれば、比較的スムーズに休みが取れるという人もいます。
キャリアパスとしては、店舗薬剤師から店長、スーパーバイザー(SV)、本部職への昇進が可能です。研修制度も充実しており、新入社員研修やフォローアップ研修、店長研修、SV研修などが用意されています。
子育て支援としては、時短勤務を小学校6年生まで取れる制度もあり、子育てに理解がある社風です。時短で店長をしている人がいるほど。子供の発熱などで急な休みを取る際にも、他の薬剤師がフォローしてもらえるなど、子育て世代には働きやすい環境が整っています。
>マツモトキヨシ薬剤師の年収&福利厚生&キャリアアップ制度を徹底解説
ウエルシア

ウエルシア薬局の薬剤師の年収は平均614万円と高水準です。
ウエルシアは調剤併設型店舗比率が高いのが特徴で年間休日は118日。1日平均8時間勤務を基本としています。
キャリアパスとしては、調剤リーダー(3店舗程度統括)、地区長(20~30店舗程度統括)、営業部長(40~50店舗程度統括)など、多彩なポジションが用意されています。
研修制度も充実しており、「ウエルシアアカデミー」と呼ばれる薬剤師教育制度で、かかりつけ薬剤師資格取得支援も行っています。
子育て支援については、時短勤務は小学校6年生まで取得可能で、多くの子育て世代が利用している状況。子育て世代でも働きやすい環境との声も多いです。ただし、社員を辞めてパートへ移る人も一定数おり、会社の制度は整っているものの、理解やサポートは店舗次第との声もあります。
>ウェルシア薬剤師の年収&福利厚生&キャリアアップ制度を徹底解説
ツルハドラッグ

ツルハドラッグの薬剤師の年収は、約591万円と業界大手の平均よりも高水準です。 月収は28万円から60万円程度で、前職の給与や経験、年齢などを考慮して決定されます。
年間休日は113日。 残業は店舗次第ではありますが、月平均で残業5時間程度と少なく、ワークライフバランスを重視した勤務が可能な店舗も多いです。
薬剤師としてのキャリアパスは多岐にわたり、薬局長・店長、マネジメント職、教育担当、商品開発、仕入れ担当など、さまざまな職種へのステップアップが可能です。 また、在宅医療や認定薬剤師の取得支援も行っており、専門性を高めることができます。
研修制度は充実しており、新入社員研修やフォローアップ研修、店長研修、SV研修など、充実した研修制度が整備されています。 毎週東京オフィスで勉強会が開催されており、知識の習得やスキルアップが図れます。 また、外来がん認定薬剤師やHIV認定薬剤師などの認定薬剤師取得支援も実施しています。
子育て支援は、時短を小学校3年生まで適用可能。子育てに理解のある人も多い環境です。
組合が機能していることもあり、コンプラ意識は高いため、社風は堅実・安定志向であり、長期的なキャリア形成に向いています。
スギ薬局

スギ薬局の薬剤師の平均年収は約559万円で、業界大手の平均と同水準です。
勤務時間は8時間を基本とし、4時間以上12時間以内の範囲でシフト制となっています。年間休日は116日で、年2回4連休の取得が可能です。
キャリアパスとしては、店舗薬剤師から管理薬剤師、本部スタッフへの昇進が可能です。
研修制度も充実しており、3年目まではベーシックセミナーで基礎スキルの向上、4年目以降は専門領域研修で専門性の向上と、ステップアップできる環境が整っています。
子育て支援としては、育休の取得率が96.1%と高く、短時間勤務制度も子どもが小学校6年生まで利用可能。子育てとの両立がしやすい職場といえます。
「予防医療」に注力する企業文化があり、管理栄養士や看護師とのチーム連携型運営を推進しています。
>スギ薬局薬剤師の年収・福利厚生・キャリア制度を他社と徹底比較
ココカラファイン

ココカラファインの薬剤師は平均年収522万円程度とされており、業界大手の平均(559万円)より低い水準です
年間休日は126日で、週休2日制を採用しています。 夏季休日や年末年始休日もあり、年間を通じて計画的に休暇を取得できます。残業は月平均10.2時間。1分単位で支給されるため、労働時間の管理が徹底されているとの口コミも多いです。
薬剤師としてのキャリアパスは、店舗薬剤師から管理薬剤師、エリアマネージャー、本部スタッフなど、多彩な選択肢があります。 また、在宅医療やかかりつけ薬剤師としての役割も重視されており、地域医療に貢献する機会が豊富です。
研修制度は、新入社員研修やフォローアップ研修、専門研修など、段階的な研修制度が整備されています。 4年目からは、それぞれの進みたいキャリアに応じた専門的な研修が受けられるようになっており、薬剤師職の成長のサポートは手厚いです。
時短制度は子どもが小学校6年生まで適用され、男女ともに育児休業の取得実績も豊富で働きながら子育てをする社員を支援する体制が整っています。
クリエイトSD

クリエイトSDは神奈川を中心に展開しているドラックストアで、現在は東京、千葉、愛知にも拡大を続けています。
クリエイトSDの薬剤師の年収は、平均558万円程度で、業界大手の平均(559万円)と同水準です。初任給は33.5万〜38.5万、賞与は年2回支給され、借り上げ社宅制度や家賃補助も充実しています。
勤務時間は1日4〜9時間の間で週40時間です(ほとんどは1日8時間)。年間休日は117日、年1回5日間の連休が取得可能で、残業は会社全体平均で月8時間程度です。
キャリアパスとしては、「薬局長」、「調剤エリアマネージャー」などのマネジメント職、在宅医療分野に特化した「エリア在宅担当」など、現場で活躍する方向性だけでなく、採用や教育などキャリアチェンジの機会もあり幅広い活躍の場が設けられています。
研修制度も充実しており、店舗の機器設備を再現した調剤研修センターでの研修や、在宅専門研修、疾患に関する研修のほか、接遇、マネジメント研修など幅広い知識の習得が可能です。
子育て支援としては、子供が小学校3年生までの時短勤務の適用が可能。子育て世代が多いこともあり、周囲の理解はありますが 、店舗によっては人手不足で休みにくい環境もあるとの口コミも目立ちます。
>クリエイトSD薬剤師の年収・残業休日・子育てサポートを徹底解説
サンドラッグ

サンドラッグの薬剤師の平均年収は約570万円で、業界大手の平均(559万円)と比較して若干高い水準です。初任給は約33〜40万円と高めに設定されています。
勤務時間は1日平均8時間、週平均労働時間40時間以内のローテーション制で、年間休日は117日です。
キャリアパスとしては、管理薬剤師、店舗責任者、マネージャー、統括マネージャー、教育担当など、幅広い選択肢があります。
研修制度も充実しており、基礎研修、リーダーシップ、マネジメント、部下育成など、社員が主体的に目標を実現できる教育が用意されています。
子育て支援としては、育児休業が3歳まで延長可能で、時短勤務も小学校6年生まで延長可能です。さらに育児手当も小学校1年生までと、他社と比較しても充実しています。
また、復職フォローの制度があり、復職時にも業務量の調整が可能で仕事と家庭の両立がしやすい環境です。
>サンドラッグ薬剤師の年収&福利厚生&キャリアアップを徹底解説
イオン薬局

イオン薬局の薬剤師の平均年収は約556万円で、業界大手の平均(559万円)とほぼ同水準です。初任給は全国職で約35.3万円と高めに設定されており、賞与は年3回支給されます。
年間休日は125日と業界最多クラスで、20日間の連続休暇制度もあります。
キャリアパスとしては、調剤薬局やドラッグストアでの勤務だけでなく、企業内の他部門へのキャリアチェンジも可能です。
研修制度も充実しており、社員割引制度や住宅手当、保険や年金制度が整っているだけでなく、薬剤師向けの研修やスキルアップ支援など、キャリアアップを目指す薬剤師にも嬉しいサポートがあります。
子育て支援としては、産休・育休の取得率が高く、短時間勤務制度も利用可能で、子育てとの両立がしやすい職場といえます。
福利厚生では、イオングループの買い物割引や充実した社内研修制度が魅力です。
企業文化は「ワークライフバランス重視型」であり、育児や介護との両立支援も手厚い環境と言えるでしょう。
>イオン薬局薬剤師の年収&福利厚生&キャリアアップ制度と口コミを徹底解説
薬剤師が転職するならどっち?ドラッグストアと調剤薬局を比較

薬剤師が転職を考える際、ドラッグストアと調剤薬局のどちらが自分に合うか悩む方は多いです。
ドラッグストアと調剤薬局では、短期的には働く条件が、長期的にはキャリアパスが大きく異なります。
重視する働き方やキャリアビジョンによって選びましょう。
ドラッグストア
ドラッグストアは給与水準が高く、商品知識も身に付きます。
処方箋応需においては、店舗の立地関係で面薬局※1になる傾向が多く、様々な診療科目の処方箋に触れることができるため、幅広い知識が身につきます。しかし、調剤薬局に比べて専門性が浅くなりやすく、調剤とO T C販売•相談を同時にこなす必要があるため、比較的落ち着かない環境になりやすいです。
※1:偏りなく複数の医療機関からの処方箋を受ける薬局
調剤薬局
調剤薬局は応需する処方箋の診療科目にある程度偏りが生じる傾向があるため、専門性を高めやすく、比較的落ち着いた環境で働きやすいですが、給与水準はドラッグストアより低めです。
ドラッグストアと調剤薬局の特徴から選ぶ
比較的早めに高年収やキャリアアップを目指したい、OTC販売を通じてお客様と近くで接する働き方が好きであればドラックストア。
薬剤師として高度な専門性とスキルを身に付けて患者に質の高い医療を提供したい、自分のペースで働きたい方は調剤薬局がおすすめです。
自分のライフスタイルやキャリアプランを見据え、どちらが合っているか慎重に検討しましょう。

両方のいいところを取りたい場合は、調剤薬局で専門性やスキルを身に付けた後にドラックストアに転職という選択肢もおすすめできます。
ドラッグストア薬剤師の仕事内容は?

ドラッグストア薬剤師の主な仕事は、調剤業務に加えてOTC医薬品(市販薬)の販売・接客を行うことです。 薬剤師資格を活かしながら多岐にわたる業務をこなす必要があります。
主な業務は以下の通りです。
- 調剤業務(処方箋受付・調剤・監査・服薬指導)
- OTC医薬品(市販薬)の販売・説明・相談対応
- 健康食品・サプリメントの提案・販売
- シフト管理(店長や管理薬剤師の場合
- 地域イベントや健康フェアへの参加(任意・会社による)
- お客様対応(クレーム対応含む)
ドラッグストアでは医薬品のほか健康食品や日用品も取り扱うため、 調剤業務だけでなく、OTC医薬品の説明や相談、サプリメントの提案への対応も求められます。
処方箋調剤とOTC医薬品相談を並行するケースも一般的です。
ドラッグストアと薬局との違いは?

ドラッグストアと調剤薬局では働き方や範囲の広さ、専門性の深さに大きな違いがあります。 以下で詳しく解説していきましょう。
薬局
薬局は処方箋に基づく調剤業務を中心に行う専門性の高い職場です。医師への疑義照会や在宅訪問対応など、医療チームの一員としての役割も担います。業務は医療寄りで、専門知識を深めながらじっくり対応したい薬剤師に向いています。
主な業務
調剤薬局では、処方箋に基づく調剤、服薬指導、薬歴管理が中心業務です。 さらに、疑義照会(処方箋内容に不明点があった際に医師に確認を取る作業)や、在庫管理、薬剤情報提供(DI業務)も重要な役割となります。
患者ごとに細やかな服薬指導を行い、個別対応力も求められます。
取り扱いできる医薬
主に医療用医薬品(処方箋が必要な薬品)を取り扱います。 OTC医薬品(市販薬)は基本的に販売対象ではありませんが、最近では一部の薬局で要指導医薬品や第1類医薬品を扱うケースも増えています。
特徴
医師の診断に基づく処方内容をもとに、患者に最適な服薬指導を提供します。 ミスが許されない緊張感の中で働く一方で、薬剤師としての専門性を磨きやすい環境です。
キャリアアップには在宅医療、緩和ケア、認定薬剤師資格取得なども視野に入れられます。ドラックストアとの差別化としては、同じ疾患の方に対応するケースが多いため、特定の疾患の理解を深めやすいです。
ドラッグストア
ドラッグストアでは、調剤業務に加えOTC販売、接客、店舗運営など幅広い業務に携わります。薬剤師としての専門性に加え、高い接客スキルを磨くことが可能です。
将来的には、管理薬剤師や店長、エリアマネージャー、商品開発など本部職への道もあり、医療+経営の視点でキャリアを築ける点が特徴です。
ビジネス領域への興味がある薬剤師に向いています。
主な業務
調剤業務に加えて、OTC医薬品の販売、棚卸し、店舗運営全般に関わります。 また、来店者への健康相談やサプリメント・健康食品の提案も行うため、カウンセリングスキルも重要です。
会社によりますが、繁忙期には販促活動(POP作成・キャンペーン企画)も担当することがあります。
取り扱いできる医薬品
医療用医薬品(調剤)とOTC医薬品(一般用医薬品)の両方を扱っています。 さらに健康食品、化粧品、日用品など幅広い商品群を取り扱い、来店客のニーズに幅広く応える必要があります。
特徴
業務は多岐にわたり、薬剤師業務以外にも接客・販売・売上管理などのスキルが求められます。 短時間で顧客のニーズを把握し、最適な提案を行う「瞬発力」や「対人対応力」が必要です。
このほか、調剤業務の最中に一般販売業務が差し込まれて多忙になるケースも多いことや、対応する処方箋の診療科目が広く浅いため、専門知識の維持やアップデートを自主的に行う姿勢も不可欠となります。
自分が専門性を高めたいのか、幅広い知識と接客スキルを磨きたいのかを考え、職場選びに活かしましょう。
薬剤師がドラッグストアに転職するメリット

薬剤師がドラッグストアに転職することには、多くのメリットがあります。
特に、年収アップや幅広いキャリア形成が期待できる点が大きな魅力です。
ここでは、具体的なメリットについて詳しく解説します。
高年収を狙いやすい
ドラッグストア薬剤師は、調剤薬局や病院薬剤師に比べて平均年収が高めです。
たとえば、大手ドラッグストアでは30代で600万円を超えるケースも珍しくありません。
年収アップを重視する薬剤師にとって、非常に魅力的な転職先と言えるでしょう。

私も調剤薬局からドラッグストアへの転職で年収は200万円も上がりました。嘘だと感じる金額ですが、本当です。
調剤+OTC両方の経験が積める
ドラッグストアでは、OTC医薬品やサプリメント、健康食品の知識も求められます。
ドラッグストアに転職することで、医療用医薬品だけに偏らない幅広い知識を身につけることが可能です。調剤とOTCのダブルスキルは、将来的に在宅医療やセルフメディケーション推進に役立つため、長期的なキャリア形成に有利になります。
例えば、商品知識を入れておくことで、病院に行くまでの繋ぎの市販薬の提案が可能です。
市販薬の相談時に、市販薬では対応不可能なラインもわかるため、受診勧告することで早期に治療できるようになるなど、両方のスキルがあれば隙の無い対応力が身につきます。

幅広いスキルを身につけたい薬剤師にはドラッグストアは最適な環境で、OTC経験を活かして総合力を高める転職パターンも多いです。
早期キャリアアップのチャンスがある
ドラッグストアは店舗数が多く、拡大スピードも速いため、ポジションが豊富に存在します。 そのため、若手でも早い段階で管理薬剤師や店長、エリアマネージャーといった役職に昇進できるチャンスがあります。
実際、30代前半でエリアマネージャーに抜擢された事例もあり、実力次第でどんどんキャリアアップが可能です。
自分の頑張りをダイレクトに評価されたい薬剤師にとって、大きなメリットになります。
高額の給与が安定して支給される
ドラックストアのメリットとして高い給与を安定してもらえる点もあります。その理由は、ドラッグストアは調剤の利益以外に商品販売の利益も得られるため片方が低迷しても企業として安定度が高いからです。
直近の例として、新型コロナウイルスの流行時、調剤薬局は処方箋枚数が減少によりボーナスがカットされた企業も少なくありませんでした。一方で、ドラックストアでは消毒用アルコール、マスク、風邪薬などの売り上げが伸びていたため、企業によってはボーナスが年々増加しているケースもありました。
薬剤師がドラッグストアに転職するデメリット

ドラッグストアへの転職にはメリットが多い一方で、いくつか注意すべきデメリットも存在します。転職後にギャップを感じないためにも、事前にデメリットを正しく理解しておきましょう。
業務範囲が広く、調剤室内の人員が割かれがち
ドラッグストア薬剤師の業務は想像以上に幅広く、体力的な負担も無視できません。
その理由は、調剤業務に加えて、OTC医薬品の相談・販売まで担当するためです。
例えば、繁忙時でも調剤業務中に業務を中断されたり、人員が割かれるケースが頻繁にあります。これは、OTC医薬品の販売(第1類医薬品等)や相談などのイレギュラーな業務が発生する頻度が高いためです。
調剤業務に余裕があるわけでもないため、薬剤師1名が割かれるだけで残された薬剤師への負担は相当に重いです。
処方箋を処理しきれなかった場合、残業時間も増えるため、体力的にも負担になります。
突然のイレギュラー対応が調剤薬局に比べて多いため、ペースが乱されるのは覚悟が必要です。

ドラックストアは調剤薬局と違って、お買い物ついでにご相談にいらっしゃるケースが多いため、1日の相談件数も少なくはありません。その度に人員が割かれるため、残された人員は水分も補給できないほどハードになることもありました。
専門性を深めづらく、キャリアが偏りやすい
ドラッグストア薬剤師は、専門性を高めるには工夫が必要です。
なぜなら、OTC販売や日用品管理など、医療とは異なる分野の業務もあり、調剤の専門スキルを深めにくい環境だからです。
例えば、慢性疾患の管理や高度な薬学的判断を要する処方にはあまり関わらないため、病院薬剤師や専門薬局薬剤師と比較すると、キャリアの専門性が浅くなる可能性があります。
自分のキャリアの方向性を見極めて職種を選ぶことが必要になります。

私は調剤薬局とドラックストアの両方を経験しましたが、ドラックストアよりも調剤薬局の方が専門性に力を入れていると思います。
私の勤めていた調剤薬局では専門認定(糖尿病や認知症)を取得することで手当を支給する、症例が収集しやすい店舗へ配属させるなど、企業が薬剤師の専門性を高めることに注力していましたが、ドラックストアではそこまで手厚くはないです。
シフト勤務・休日出勤が多く、生活が不規則になりがち
ドラッグストア勤務では、生活リズムの乱れに注意が必要です。
理由は、営業時間が長く、土日祝日も営業しているため、夜間シフトや休日勤務が発生しやすいためです。
例えば、大型ショッピングモール内店舗では、22時閉店のため遅番勤務が続いたり、年末年始や大型連休でも出勤を求められることがあります。
ワークライフバランスを重視したい方にとっては、勤務体系が負担になる可能性があるので、シフト体制を事前に確認しておきましょう。
調剤薬局に比べて年間休日が少ないこともデメリットです。大手調剤薬局は122〜128日(中央値:122)、大手ドラックストアは108〜120日(中央値:116日)程度です。
ドラッグストア薬剤師に求められるスキル

ドラッグストア薬剤師として働くためには、調剤だけではなく、販売・接客・店舗運営まで幅広いスキルが求められます。
単なる薬剤師業務にとどまらず、多様な役割をこなす必要があるため、適性や準備を理解しておくことが重要です。
受診勧告すべきかの判断力
お客様の中には市販薬では対応できず、受診を勧めるべき症状を訴えることがあり、ドラックストアではその症状を深掘りし、必要に応じて早期に受診を進めることが求められます。
例えば、腹痛に効く薬を相談された際、どのように痛むのか、具体的に痛む場所、吐き気や下痢・便秘の有無など情報を整理します。その情報の元で受診すべき病気の可能性が考えられた場合、受診勧告をしなければいけません。
何気ない相談から、重たい病気のサインを見抜くことで地域医療の貢献に繋がります。
マルチタスク対応力
ドラッグストア薬剤師には、複数の業務を効率よく並行処理する力が求められます。
理由は、調剤業務だけでなく、市販薬、健康食品の相談・販売などの作業が日常的に発生するためです。
例えば、調剤中に合間を縫ってOTC相談にも応じる必要があります。このような環境では、優先順位を即座に判断し、柔軟に業務を切り替えるスキルが不可欠です。
短時間カウンセリング力
ドラッグストアに来店する顧客は薬局に来る患者と比較し忙しく、長時間相談に費やすことを好みません。
そのため、ドラッグストアでは、短時間で顧客ニーズを把握し、適切な商品を提案する力が求められます。
たとえば「花粉症に効く市販薬を教えてください」と聞かれた場合、症状・併用薬・希望条件を瞬時に整理し、最適な選択肢を提示する必要があります。この短時間カウンセリング力が高いと、売上貢献だけでなく、顧客満足度向上にもつながります。
ドラッグストア薬剤師に向いている人、向いていない人

ドラッグストアで働く薬剤師には、調剤スキルだけでなく接客力や柔軟性も求められます。
ここでは、ドラッグストア薬剤師に「向いている人」と「向いていない人」の特徴を整理し、自分に合うかを判断できるようにしましょう。
向いている人:忙しい中でも愛想を切らさず対応できる人
ドラッグストアでは、調剤業務中にOTC相談を求められる場面が頻繁に発生します。
そのため、忙しい状況下でも落ち着いて対応し、笑顔を保てる人が向いています。
例えば、処方箋入力中に「市販薬の相談」を受けるケースもあり、素早く気持ちを切り替える必要があります。
どんなに大変な時でも、嫌な顔せず常に笑顔で対応できる。お客さんに気持ちよく買い物ができるよう親切丁寧な対応できる方は重宝されます。
向いていない人: 細かい指示待ちタイプの人
ドラッグストア薬剤師は調剤中の市販薬販売、お薬相談などのイレギュラーが多いため、指示待ちではなく、各自優先順位を意識して、自発的に動ける方でないと向いてないかもしれません。
現場では「今、優先すべき業務は何か?」を自分で判断し、臨機応変に行動することが求められます。
指示待ちスタイルでは業務が滞り、チーム全体の負担を増やす原因にもなりかねません。
向いていない人:薬以外の業務を「やりたくない」と割り切れない人
ドラッグストアでは、薬剤師であっても調剤業務以外の一般業務を担当する場面があります。これらの業務に「抵抗感」を持ってしまう人は、ストレスを感じやすくなります。
逆に、薬以外の業務も「店舗運営の一部」とポジティブに捉えられる人は、ドラッグストアでも快適に働けるでしょう。柔軟な姿勢が、ストレス軽減にもキャリア成長にもつながります。
向いていない人:薬剤師として専門性を重視したい人
ドラックストアでは、一般的に病院や調剤薬局の薬剤師に比べて専門性は身につきにくいです。
調剤薬局と比較すると、ドラッグストアでは専門性は深まりにくいです。例えば、糖尿病を専門にしている病院の近くにある薬局は糖尿病に対し深い知識と経験が身につきます。また、調剤薬局では、ドラックストアよりも専門認定薬剤師(特定の病気のスペシャリストである資格)の取得に力を入れている企業も多く、取得するためにサポートも手厚いです。
一方でドラックストアは近くの病院に限らず様々な病院からの処方箋が集まるため、特定の領域の病気に対する場数が少なくなる傾向にあります。これはドラッグストアの立地が病院に近いことよりも買い物客の利便性を重視しているためです。
続いて病院と比較すると、ドラッグストアでは高度な医療に触れる機会には恵まれません。それは、ドラックストアで対応する患者さんは病院に比べて重症度が低く、症状が安定している方がメインなためです。
病院では比較的重症な患者に対応するケースが多いため、高度な医療に触れる機会が多く、薬剤師としての学びも多くなります。また、医師や看護師など他職種と関わるため専門性を高やすいです。
薬剤師として、高度な専門知識を身に付け、患者さんに高度な医療を提供したいのであれば、ドラックストアではなく、調剤薬局や病院が向いているでしょう。
ドラッグストア薬剤師の将来性は?

ドラッグストア薬剤師は今後ますます社会的ニーズが高まる職種です。
高齢化社会の進行やセルフメディケーション推進などを背景に、活躍の場が拡大しています。
ここでは、ドラッグストア薬剤師のキャリア展望について詳しく解説します
キャリアパス
ドラッグストア薬剤師には多様なキャリアパスが用意されています。
一般的なものは「薬局長」「エリアマネージャー」「部長」といった現場管理職コースで、管理者として人材管理、利益向上力、問題解決能力などが身につきます。
そのほかに、以下のようなキャリアを選択できるケースもあります。
- 在宅医療のサポートを担う在宅専門コース
- 採用や教育に携わるコース
待遇面ではどのコースでも役職は用意されており(課長や部長など)は役職手当と役職によって賞与の増加により収入アップが見込めます。
かかりつけ薬剤師
かかりつけ薬剤師制度の普及により、ドラッグストアでも「個別対応できる薬剤師」が重視されつつあります。
特に、調剤併設型店舗では、かかりつけ薬剤師の資格取得を支援する企業も増加傾向です。
(例:ウエルシア薬局では、かかりつけ薬剤師研修プログラムを実施)
これからのドラッグストア薬剤師には、販売だけでなく、医療人としての役割意識も求められるでしょう。
セルフメディケーション
国の医療費抑制政策を受けて、「軽症は市販薬で対応」というセルフメディケーション推進が進んでいます。
この流れに伴い、OTC医薬品や健康食品の適切な提案ができる薬剤師の需要が高まっています。
たとえば、花粉症・軽い風邪・胃腸トラブルに対して、ドラッグストア薬剤師が的確なセルフケア指導を行う場面が一般化しています。単なる販売員ではなく、「市民の健康サポーター」としての役割が期待されるでしょう。
OTC販売スキルを磨くことは、将来の価値向上にも直結します。
在宅医療
一部の大手ドラッグストアでは、在宅医療への参入も始まっています。
特に、施設調剤や居宅訪問を行う薬局併設店舗が拡大しており、在宅訪問薬剤管理業務を担当するケースもあります。
例として、ツルハドラッグでは在宅専任チームを立ち上げ、医師・看護師と連携した在宅支援を推進しています。
高齢化社会に対応するため、今後さらに在宅領域でのスキルが重視される見込みです。
ドラッグストア薬剤師も、「地域医療の担い手」としての役割を強めていくでしょう。
調剤薬局や病院からドラッグストア薬剤師への転職の注意ポイント

ドラッグストアへの転職は魅力的な選択肢ですが、調剤薬局や病院勤務との違いを理解したうえで慎重に進めることが大切です。
ここでは、転職前に押さえておくべき注意点を紹介します。
調剤薬局からドラッグストアへの転職
調剤薬局からの転職では、業務範囲の広さに驚く薬剤師が多いです。
ドラッグストアでは、調剤だけでなく、市販薬•健康食品等に関する相談や販売など多岐にわたる業務をこなすため、必要になる知識の幅も広くなります。
調剤業務においても、調剤薬局は近隣の医療機関からの処方箋がメインになりますが、ドラックストアでは、買い物ついでに遠方の医療機関の処方箋を持参するケースも少なくないため、在庫管理の難易度も高くなりやすいです。(1人の患者だけに出すお薬が多発する、ある日突然来なくなる)
ドラックストアの立地は、医療機関に近いことよりも買い物客の利便性を優先するため、処方箋枚数が期待できない店舗が調剤薬局に比べて多いです。そのため、「1人薬剤師」を任せられることも少なくありません。
「調剤業務だけをしたい」、「1人薬剤師は嫌だ」と考えている場合、ギャップにストレスを感じやすい点に注意が必要です。
店舗選びの際は、「調剤専任型」「調剤併設型」など希望に合った働き方を確認しましょう。
病院からドラッグストアへの転職
病院からの転職では、臨床薬学の深い知識を活かしにくい点に注意が必要です。
ドラッグストアでは急性期・専門病院のようなハイレベルな処方対応は少なく、主に軽症患者の対応が中心になります。
そのため、専門性を極めたい人には物足りなさを感じるかもしれません。
一方で、OTC薬や生活習慣病予防指導など「市民の健康支援」に関わるスキルは確実に身につきます。
医療機関とは違うフィールドで「地域密着型の薬剤師」としてキャリアを築きたい方には向いています。
まとめ|薬剤師転職でドラッグストアも選択肢としてあり

薬剤師のドラッグストアへの転職は調剤薬局や病院より専門性は浅くなるものの、年収は高く、ビジネス領域のスキルも身に付きます。
ドラッグストアと調剤薬局・病院とでは、キャリアの方向性は大きく変わっていくため、現在の働き方や待遇・将来に疑問がある薬剤師は、ドラッグストアも転職先の候補として選択肢に入れておいてよいでしょう。
「薬剤師としての専門性」を特に重視していない場合は、幅広いスキルが身に付くドラッグストア薬剤師は向いているかもしれません。
転職で年収が100~200万円アップするケースも少なくありません。求人を見るだけでもキャリアの選択肢は増えていくので、ぜひ転職エージェントの求人情報を確認してみましょう。