自己分析のやり方を徹底解説!薬剤師が転職の際に知っておきたいポイントも紹介

  • 薬剤師として今の職場で働き続けて良いのか迷っている
  • 自分に合う職場の条件や環境がわからない
  • 面接でアピールできる強みや志望動機が見つからない

薬剤師からの転職を考えたときに、自分のやりたいことがわからず次の転職先に悩んでいませんか?子育てと仕事を両立できる、納得のいくキャリアを歩むためには「自己分析」をして自分と向き合うことが重要です。

この記事では薬剤師の転職で自己分析が重要な理由と、明日から実践できる具体的な自己分析のやり方10選を解説します。記事を読めば自分の強みや価値観が明確になり、後悔しない薬剤師の転職につながります。

薬剤師からの転職を成功させるには、自分に合った職場を見つけるための指針として自己分析が欠かせません。自分史の作成や他己分析など、取り組みやすい自己分析から始めて納得のいくキャリアを築きましょう。

薬剤師の転職で自己分析が必要な3つの理由

薬剤師の転職で自己分析が必要な3つの理由は以下のとおりです。

  • 自己理解を深めるため
  • キャリアプランを明確にするため
  • 志望動機や自己PRの作成に役立てるため

自己理解を深めるため

自己分析は自分の価値観や強み、弱みなどを客観的に見つめ直せるため、より良い転職先を決めるための判断材料の一つとなります。自己分析を行うと、自分に合った転職先選びの指針となる以下の点が明らかになります。

  • 人生における仕事の優先順位
  • 自分の経験やスキル、得意不得意
  • やりがいを感じる仕事の種類
  • 仕事へのやる気の源
  • 仕事への不満やストレスの原因
  • 自分に合う働き方
  • 自分に合う職場の雰囲気

キャリアプランを明確にするため

自己分析は将来のキャリアプランを具体的に描くための大切なステップです。自己分析で自分の理想と今の状況を客観的に見つめ直すことで、進むべき方向がはっきりします。

薬剤師が自己分析を行うと目指したいキャリアの具体化ができて、必要なスキルを持っているかがわかります。長期的な視点で薬剤師である自分のキャリアを考えることで、入社後の「こんなはずじゃなかった」という後悔を防ぐことが可能です。

志望動機や自己PRの作成に役立てるため

自己分析は採用担当者の心に響く志望動機や自己PRを作るうえで役立ちます。自己分析で自分の強みや仕事に対する価値観を深く理解すると、応募先の企業に対して以下の点を具体的に伝えられます。

  • 持っているスキル
  • やりたい仕事
  • 苦手な仕事
  • 仕事の価値観、目標
  • 薬剤師としての過去の経験
  • 貴社で働きたい理由

自己分析で企業が求める人物像と自分の強みを照らし合わせ、貢献できるポイントを具体的に示せるようにもなります。自分の長所だけではなく苦手なことも理解し、入社後の成長意欲を前向きに伝えられる点も自己分析のメリットです。

» 薬剤師の自己PRの書き方完全ガイド|事前に準備すべきことや注意点も詳しく解説

» 志望動機の書き方完全ガイド|書き出し・締めくくりで差をつけるコツを紹介

薬剤師におすすめの自己分析のやり方10選

自己分析を成功させるためには自分に適したやり方を見つけることが大切です。人それぞれ考え方や分析結果の整理の仕方が異なるため、複数の自己分析の手法を試すことをおすすめします。

薬剤師におすすめの自己分析のやり方は以下のとおりです。

  • 自分史を作る
  • マインドマップを活用する
  • モチベーショングラフを描く
  • WHY(なぜ)を繰り返して深掘りする
  • ジョハリの窓を使う
  • 他己分析をする
  • ライフラインチャートを作成する
  • Will・Can・Mustフレームを使う
  • SWOT分析を活用する
  • キャリアアドバイザーに相談する

自分史を作る

自分史の作成は今までの人生を振り返り、自分という人間を深く理解するための有効な方法です。自分の過去を整理することで強みや本当に大切にしている価値観を再発見でき、自己分析につながります。以下のステップに沿って、自分の物語を書き出してみましょう。

  1. 人生を年代で区切る
  2. 年代ごとの出来事を書き出す
  3. 当時の気持ちを思い出す
  4. 出来事から得た学びを言葉にする
  5. 出来事から得た学びの共通点を探す

過去の出来事や感情を自分史に整理して見ていくと、自分が感じてきた喜びや何に情熱を注いできたのかのパターンが見えてきます。自己分析で薬剤師としての過去の経験を一つひとつ丁寧に見ていくことで、自分でも気づかなかった軸が見つかります。

マインドマップを活用する

マインドマップは頭の中にある考えを整理して、自分の強みや大切にしたいことを見える形にするために役立ちます。マインドマップで自己分析する方法は以下のとおりです。

  1. 紙やツールの中心に「理想の働き方」や「自分の強み」といったテーマを書く
  2. テーマから連想する言葉を木の枝のように放射状に書き出す
  3. 書き出した言葉に関連する具体的なエピソードや考えを追記していく

1つのテーマから自由に連想を広げることで、自分でも気づいていなかった潜在的な強みや価値観を発見できます。マインドマップによる自己分析により、薬剤師としてのキャリアの方向性や転職活動で譲れない軸が明確になります

モチベーショングラフを描く

自分のやる気の源泉を知りたいときにはモチベーショングラフを描きましょう。今までの人生で、どんな時にやる気が出たり落ち込んだりしたのかをグラフにすると、自分自身を深く理解できます。

モチベーショングラフで自己分析できる理由は、過去の経験と感情の動きを「見える化」できるからです。モチベーショングラフを作ると、どんな出来事が自分の心に影響を与えたのかが一目でわかり、大切にしたい価値観が見えてきます。

自己分析の手法であるモチベーショングラフは以下の手順で作成できます。

  • 縦軸にやる気の高さ、横軸に時間を書いたグラフを用意する
  • 幼少期から現在までの人生の出来事(部活、就職、結婚など)を時系列で書き出す
  • それぞれの人生の出来事のやる気の高さを点でグラフに書き込み、線で結ぶ
  • やる気が上がったときと下がったときの出来事を比べて、共通点や理由を考える
  • 分析した結果から自分が何に喜びを感じ、どんな環境で力を発揮できるのかをまとめる

WHY(なぜ)を繰り返して深掘りする

自分の考えや感情に対して「なぜ?」と問いを繰り返すと、心の奥にある本当の気持ちを見つけ出せます。WHYの繰り返しは表面的な悩みや願いの裏に隠れた「本当に大切にしたいこと」の発見につながります。

薬剤師の仕事を辞めたいと感じている理由がわからなくなった場合、一息ついてから「なぜ?」と自分に問いかけてみてください。薬剤師の仕事に対するWHYの繰り返しの例は以下のとおりです。

  • なぜ辞めたいの?→薬剤師の仕事の残業が多くて心身ともに疲れているから
  • なぜ残業がつらいの?→家に帰っても家事や育児で自分の時間がほとんどないから
  • なぜ自分の時間がほしいと感じるの?→1人になって気持ちをリセットしたいから
  • なぜリセットが必要なの?→毎日を完璧にこなさないといけないと感じていて、常に緊張しているから
  • なぜ完璧を求めてしまうの?→仕事も育児も両立できない自分は「ダメな母親」だと思ってしまうから

「なぜ?」を5回ほど繰り返すと薬剤師の仕事に対しての感情を自己分析できます。薬剤師の仕事に対して「自信のなさ」や「完璧でなければいけないという思い込み」があることに気が付ける場合があります。

ジョハリの窓を使う

ジョハリの窓は「自分から見た自分」と「周りから見た自分」という2つの視点から逆算し、自分自身を理解するためのやり方です。ジョハリの窓は自分1人では気づけない、自分の思いがけない長所や改善点を発見できます。

ジョハリの窓は自分を以下の4つの窓に分けて整理します。

窓の種類説明
開放の窓自分も他人も知っている自分や、オープンにされている性格や行動明るい性格、社交的、時間に正確
盲点の窓他人は知っているが自分では気づいていない特徴やクセ話し方がきつい、気配りができる
秘密の窓自分は知っているが他人には隠している感情や過去不安を感じている、自信がない、もっと子どもとの時間を増やしたい
未知の窓自分も他人も気づいていない潜在的な能力や価値観危機時の冷静さ、新しい環境での適応力、強いリーダーシップ

自己分析の手法であるジョハリの窓を使うと、1人で考えるだけでは見つけられなかった自分の魅力に気付けます。
» 【薬剤師の転職活動】長所が思いつかない理由と探し方

他己分析をする

周りの人に意見を聞く「他己分析」も自分を客観的に知るための良いやり方です。信頼できる第三者の視点を取り入れることで、自分では気づかなかった新たな一面を発見できます。

他己分析はパートナーや親、気心の知れた友人など、自分をよく知っている人にお願いしてみましょう。他己分析を頼む際には漠然と聞くのではなく、以下のような具体的な質問をすると相手も答えやすくなります。

  • 私の良いところはどんなところだと思う?
  • 「直した方がいいかも」と感じる部分はどこ?
  • 薬剤師の仕事は向いているように見える?
  • どんなことが得意そう、向いてそうに見える?

他己分析でもらった意見は、例え「そんなことないのに」と感じる内容であっても、まずは否定せずに素直に受け止めましょう複数の人に話を聞くと、多角的な視点から自己分析が進みます。
» 薬剤師が、自分に向いている仕事を探す方法を解説

ライフラインチャートを作成する

ライフラインチャートとは、人生の浮き沈みをグラフで可視化することで自分の価値観や強みを発見する自己分析のやり方です。自分の気持ちの動きを客観的に見れば何がモチベーションにつながるのか、どんな時にやりがいを感じるのかが明確になります。

ライフラインチャートは以下の手順で簡単に作成できます。

  • 目盛りを決める:横軸に年齢や西暦、縦軸に感情スコア(+10~-10)を設定
  • 出来事を書き出す:学生時代から現在までの印象的な出来事をリストアップ
  • スコアをつける:各出来事に対して当時の感情を数値化(+10:最高、-10:最悪)
  • 点を記入する:年齢とスコアに対応させてグラフ上に点を記入
  • 線で結ぶ:すべての点を時系列で結び、感情の浮き沈みを可視化

完成したグラフの山(幸福度が高い部分)を見ると自分が本当にやりたいことや、やりがいを感じる仕事のヒントが見つかります。反対に谷(幸福度が低い部分)を振り返ると、困難をどう乗り越えたのかという自分の強みや課題を再確認できます。

Will・Can・Mustフレームを使う

Will・Can・Mustフレームは、自分のやりたいこと・できること・やるべきことの3つの視点から、自分に合った働き方を見つけるための考え方です。Will・Can・Mustフレームで自分を客観的に見つめ直すと、やりがいと能力、需要が一致する理想の働き方を発見できます。

以下の3つの円を描き重なり具合を見ることで自己分析ができます。

Will(やりたいこと)
Willの円では自分が本当に興味があることや大切にしている価値観、将来どうなりたいかといった自分の内側にある願いを記します。
Can(できること)
Canの円では人生経験で身に付けたスキルや知識、保有している資格、他の人より得意なことを記します。
Must(やるべきこと)
Mustの円では職場や社会から期待されている役割や、責任を持って取り組むべき業務を記します。

SWOT分析を活用する

SWOT分析は自分自身と周りの状況を整理して、今後の働き方を考える際に役立てるやり方です。自分を以下の4つの視点から考えることで、薬剤師としての自分の現在地や目指す方向が明確になります。

強み(Strengths)
自分が持っている資格や経験、人とのコミュニケーションが得意なことなどが強みとして考えられます。
弱み(Weaknesses)
経験が浅い分野や苦手な作業、今後身に付けたいスキルなどが弱みとして考えられます。
機会(Opportunities)
薬剤師の人手不足といった、自分にとってチャンスとなる社会の動きが機会として考えられます。
脅威(Threats)
AI技術の進歩や薬剤師業界のルール変更など、自分の働き方に影響を与えるかもしれない外部の要因などが脅威として考えられます。

強み・弱み・機会・脅威の要素を掛け合わせて自己分析すると、自分の市場価値や面接でのアピールポイントが見つけやすくなります。

キャリアアドバイザーに相談する

1人での自己分析に行き詰まったら、転職のプロであるキャリアアドバイザーに相談することも良いやり方です。転職の専門家は客観的な視点から、自分1人では気づけなかった強みや向いている仕事を教えてくれます。

キャリアアドバイザーからは業界の動向などをふまえたうえで、今後のキャリアプランについて相談に乗ってもらうことも可能です。誰かと話すことで頭の中が整理され、薬剤師の転職に関する悩みや不安が軽くなる可能性もあります。キャリアアドバイザーの力を借りることで、より深く多角的な自己分析が可能です。

薬剤師が自己分析をするときの注意点

転職成功には自己分析が欠かせませんが、やり方を間違えると思考の迷路に陥る可能性があります。薬剤師が自己分析をするときの注意点について解説します。

先入観や思い込みを避ける

自己分析をスムーズに進めるためにも、先入観や思い込みは1度手放しましょう。「こうあるべきだ」「自分には無理だ」といった先入観や思い込みは、知らず知らずのうちに自分の可能性を狭めてしまいます。

まっさらな気持ちで自分と向き合うためには、以下の考え方を意識する必要があります。

  • 「こうしなきゃ」を忘れる
  • 最初から決めつけない
  • 過去にとらわれない
  • 周りを気にしすぎない
  • 理由をつけて諦めない

思い込みをなくすと深く自分を理解でき、薬剤師のキャリアや子育て、今後の人生を豊かにするヒントが見つかります。

自己分析だけに時間をかけすぎない

自己分析だけに時間をかけすぎるのは避けましょう。完璧な答えを求めて考えすぎてしまうと、転職のタイミングを逃してしまうからです。自分や家庭の今後を考えることは大切ですが、自己分析そのものが目的になってしまうと良くない結果を招く可能性があります。

転職の方向性がある程度定まったら、まずは行動に移してみましょう。転職エージェントに登録したり、企業研究したりする中で、転職に対しての考えがより具体的になっていきます。

転職活動をしながら考えを修正していくことは、自己分析に時間をかけすぎて転職が進まない事態を避けるためにも大切です。
» 薬剤師の転職活動の手順や成功させるポイントを解説

薬剤師転職で後悔しないために自己分析を大切にしよう

自己分析で自分のやりたいことやスキルを整理すると、薬剤師転職での後悔を防げます。自分の価値観や得意分野、苦手分野、将来の目標を明確にすることで、理想とする転職を実現できます。

薬剤師におすすめの自己分析の中から、取り組みやすいやり方を選び始めてみましょう。1人での自己分析に悩む場合はキャリアアドバイザーや転職エージェントなどの専門家に相談することをおすすめします。自己分析で自分と向き合うことが満足できる転職への第一歩となります。