調剤薬局や病院での仕事が忙しすぎて「のんびり働きたい!」と感じている薬剤師さんに、おすすめの職場と狙い目の診療科を紹介します。
薬剤師の忙しさは結局、「店舗による」と考える薬剤師さんも多いですが、実は仕事の選び方を知れば、のんびり働ける生活は叶います。
この記事では、薬剤師がのんびり働ける仕事8つと診療科を3つ紹介し、忙しくなるNGな求人についても解説しています。
この記事を読むことで、のんびり働ける薬剤師生活に一歩近づきますので、ぜひ参考にしてみてください。
のんびり働きたい薬剤師におすすめの職場・職種8選

近年、薬剤師の仕事が急増し、患者数も増加しており、現状の薬剤師としての働き方にストレスを感じている方も多いでしょう。しかし、神経を使わず、自分のペースで働ける職場は存在します。
そこで今回は、薬剤師におすすめののんびり働ける職場・職種を8つ選びました!新卒や転職を考える際の参考にしてください。
単科の医院・クリニックに隣接した調剤薬局
単科の医院やクリニックに隣接した調剤薬局は、薬剤師におすすめの職場です。
患者数が少なく、処方箋も簡単なものが多いため、調剤業務や接客がスマートにこなせます。
大手チェーンの薬局と比べると、単科医院は中小規模で午前と午後のどちらかだけの診療が多いので、椅子に座ったままの業務も多くあります。
一般企業の企業内診療所薬剤師
一般企業の企業内診療所薬剤師は、薬剤師が求めるワークライフバランスを実現できる職場です。
残業が少なく、従業員の健康管理が主な業務で、労働時間も短い場合が多いです。
患者も限られるためのんびり働くことができます。
薬剤師経験があれば、臨床や製薬業界への転職ができるため、おすすめの職種です。
安定期患者が利用する病院
安定期患者が多く利用する病院は、薬剤師にとってのストレスが少なく働きやすい職場です。
患者の症状が一定期間安定しているため、急変や事故のリスクが低く、薬の処方も比較的単純で、高度な知識や技術が必要な場合が少ないのが特徴です。
リハビリテーションや療養を目的とした病院での仕事は、安定した環境が魅力です。
製薬会社のMW職(メディカルライティング)
製薬会社のMW職は、薬剤師としての経験を活かし、新しい薬の開発や医療関係者への情報提供を行います。
ライティングでは集中して執筆業務にあたるため、基本的に他人にペースを乱されることが少ない職種です。
薬剤師の専門知識が必要であるため、薬学部卒業者や調剤薬局での経験者が適任です。
この仕事は年収も調剤薬局や病院勤務の薬剤師より高い傾向があり、キャリアアップも見込めるため魅力的であると言えます。
製薬会社のDI職(ドラッグインフォメーション)
製薬会社のDI職は、薬剤師としてのスキルや知識が活かせる職種で、主に開発情報を分析し、医療機関や薬剤師に最新の情報を提供する役割があります。
常に他人と連携する職種ではないため、薬局や病院などの対人業務と比較してのんびり働くことが可能です。
転職後の年収も調剤薬局や病院勤務の薬剤師より高く、専門性を高めることも可能で、魅力的な職種といえます。
製薬会社の品質管理
製薬会社の品質管理では、薬剤師が製品の品質を管理し、安全性や効果を担保します。
具体的には、製造過程での品質チェックや製品に関する法規制の遵守をチェックします。
チームで業務を進める職種ですが、突発業務も少なく、コツコツ自分のペースで業務を進めたい人にはおすすめの職種です。
また、年収は調剤薬局や病院勤務の薬剤師より高い傾向があり、キャリアアップも期待できる魅力的な仕事です。
製薬会社の品質管理はきついと口コミもありますが、仕事内容をよく理解しておきましょう。製薬会社の品質管理については以下の記事が参考になります。

製薬会社のCRA(臨床開発モニター)
製薬会社のCRA(臨床開発モニター)は、薬剤師として新薬の臨床試験をサポートする仕事です。
CRO(臨床試験受託機関)などの企業で勤務することもありますが、CROでは実際に手を動かして製薬会社へ報告をすることになるため、おすすめしません。のんびり働くには製薬会社です。
CRAは薬剤師の知識が活かせる上に、製薬会社ではリモートワークや土日休みなど柔軟な勤務が可能な場合があるため、働きやすさが魅力です。薬剤師として新しいキャリアを築きたい方にはおすすめの職種です。
ただし、CRAでは企業により年収に差があるので、CRAの年収相場の確認は、CRA(臨床開発モニター)の年収ランキングを参考にしてみてください。

製薬会社のMR
製薬会社のMR(メディカル・レプレゼンタティブ)は、自分のペースで働ける職種として魅力的です。
自分で業務計画を立てていくため、他人のペースに乱されず、のんびりできる時間を持つことができるのが特徴です。
また、インセンティブも多く高年収を目指せるため、自分次第で収入が上がります。
ただし、医師との折衝が難しいケースもあります。MRは給料が高すぎとも言われますが、以下の記事も参考に仕事の特徴をよく理解して検討してみてください。

のんびり働きたい薬剤師におすすめの診療科2選

のんびり働きたい薬剤師におすすめの診療科として、眼科の門前薬局、整形外科の門前薬局、皮膚科の門前薬局が挙げられます。それぞれの診療科には独自の魅力があるため、自分にあった働き方が見つかります。
眼科の門前薬局
のんびり働きたい薬剤師におすすめなのが眼科の門前薬局です。
眼科の門前薬局では、処方内容がシンプル(目薬1〜2剤)で疾患の推測がしやすく、薬歴記載や服薬指導が簡単なため、のんびり働けます。
具体的には、眼科では点眼薬が中心となり、抗菌薬・ステロイド・ドライアイ治療薬など、処方のパターンがある程度固定されています。飲み薬の処方は少ないので、一包化など面倒な調剤も少ないです。
ただし、術後、術前処方(白内障など)や慢性疾患(緑内障など)のモニタリング、新規処方の場合は丁寧な点眼指導が必要な場合もあります。また閉塞隅角緑内障は禁忌に該当することが多い疾患なので、併用薬の確認も重要です。
多少忙しいケースもありますが、処方傾向が安定しているので、他の診療科よりのんびり働くことができます。
整形外科の門前薬局
整形外科の門前薬局も、のんびり働きたい薬剤師にはおすすめです。
整形外科の門前薬局は定型的な処方が多く、一般論的には軽めの処方が多いためです。
具体的には、整形外科では湿布薬、ビタミン剤、消炎鎮痛薬、胃薬の処方が中心で、服薬指導に割く時間や疑義照会が少ない傾向にあります。
ただし、麻薬(フェントステープ等)の取り扱いがある場合は、麻薬処方箋の要件を満たしているか、本人確認の徹底、保管と記録など、厳重な管理が求められるため、それなりの対応力が必要になります。またトラマドールやプレガバリンなど運転禁止薬の指導にも、注意を払う必要があります。
薬剤師の中でも、整形外科はのんびり働けるとの意見も多くあり、おすすめです。
薬剤師がのんびり働ける職場の条件

薬剤師がのんびり働ける職場にはいくつかの条件があります。
その理由として、処方箋の数が少ないことや調剤の内容が簡単であることなどが挙げられます。
また、対応に困る患者が少ないことや在宅や薬の配達がないことも重要です。
さらに自分で業務をコントロールできる環境が整っていることも条件の一つとなります。具体例を見ていきましょう。
処方箋の数が少ない
処方箋の数が少ない職場は、薬剤師にとって働きやすい環境と言えます。
その理由は、それぞれの業務が負担なく短時間でこなせるからです。
ドラッグストアや大手の薬局では処方箋の枚数が多く、患者との対応や調剤に追われることが多いですが、中小の薬局や病院では処方箋の数が少ないため、午前と午後の就業時間帯で調剤が落ち着くこともあります。
どちらの職場を選ぶかは、薬剤師自身の希望によりますが、メリットとデメリットを参考に検討してみましょう。
調剤の内容が簡単
調剤の内容が簡単な職場は、薬剤師にとってもおすすめです。
煩雑で複雑な処方箋に対応する業務が少ない場合、集中して仕事に取り組むことができるため、ストレスが少なくなります。
薬局の中には、薬剤師の業務の中で難しい薬の調剤が極端に少ない職場もあります。
のんびり働きたい場合には、調剤の内容が簡単な薬局を選ぶと良いでしょう。
対応に困る患者が少ない
対応に困る患者が少ない職場も、薬剤師にとって働きやすい環境となります。
気の難しい患者の要望や対応は、それだけで時間とストレスがかかります。
患者への説明や薬の対処法に自信を持って取り組むため、のんびり働らくためには、対応に困る患者の少ない職場が適しています。
在宅や薬の配達がない
在宅や薬の配達がない職場は、薬剤師にとって働きやすい環境です。
自分のペースで業務を進められるため、余裕を持って仕事に取り組むことができます。
在宅や配達のあるドラッグストアや薬局では薬を患者に届ける業務が多いですが、そのような業務がない職場では、予定通りに業務が進められるため、働きやすさが向上します。
業務を自分でコントロールできる
業務を自分でコントロールできる職場は、薬剤師にとって大変魅力的です。
自分の働き方やスケジュールを調整できるため、仕事とプライベートのバランスが取りやすくなります。
また、自分に合った働き方ができることで、より効率的かつ効果的に業務を進めることができます。
のんびり働きたい薬剤師はNGな職場

のんびり働きたい薬剤師にとって、厳しい環境での勤務が求められる職場は避けた方が良いでしょう。
理由としては、労働時間が長く、緊張感が高まる状況が続くため、リラックスして働くことが難しいからです。
具体的な職場としては、以下のような場所が挙げられます。
大学病院や総合病院の門前薬局はNG
大学病院や総合病院の門前薬局では、のんびり働ける環境はありません。
大学病院や総合病院近くの薬局では、患者数も多く、薬剤師や事務員が常に働かなければいけない状況が発生しやすく、昼食や休憩が取れないケースも少なくありません。
患者さんが多く、忙しさが続くため、のんびり働きたい方には向かない職場です。
循環器内科や精神科などの診療科近くの薬局はNG
循環器内科や精神科などの診療科近くの薬局も、のんびり働ける環境とは言えません。
一包化される薬が多いため、患者さん一人当たりにかかる時間が長くなり、忙しくなります。
また、調剤や監査に時間と労力が必要で、投薬時には色々と気を使う大変なケースが増えるため、リラックスして働くことは難しいでしょう。
常に募集をかけているドラッグストアはNG
常に人手が足りない状況で募集をかけているドラッグストアも、のんびり働きたい薬剤師には適さない職場です。
人手不足によって仕事量が増え、働く環境が劣悪になることがあるため、のんびりと働くことが難しくなります。
のんびり働く薬剤師の仕事・職場のデメリット

薬剤師がのんびり働けると感じる職場には、デメリットも存在します。
精神的にも時間的にも大きなメリットがありますが、キャリアとしては注意が必要な場合もあります。
スキルが身に付きにくい
のんびり働く薬剤師は、スキルが身に付きにくいことがデメリットのひとつです。
業務がシンプルで、処方箋調剤や単調な散剤包装が主な仕事内容の場合、技術や知識の向上心が求められにくくなることがあります。
自分のスキルアップや日々の学習が大切であることを意識し、小児科薬局など幅広い知識が必要な職場で働く姿勢を持つことが望ましいです。
転職でキャリアを評価されにくいことも
のんびり働ける職場で働くことは、将来の転職でキャリアを評価されにくくなることもデメリットとして挙げられます。そのため、その後の転職が厳しくなる可能性も出てくるのがのんびり働くことのデメリットです。
スキルや技術の向上が求められない職場で働くことが続くと、転職時に自分の経験や技術をアピールする内容が不足し、不利な条件での転職先しか見つからないことも。
のんびり働いているうちも、次を見据えて日々の学習やスキルアップに取り組む意欲を持ち続けることが大事です。

転職が難しくなる人と転職できる人の違いは、薬剤師の転職が厳しいと言われる理由とは?市場動向と成功のコツを解説でも詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。

派遣薬剤師も視野に入れてみるとのんびり働ける

のんびり働きたい薬剤師には、派遣薬剤師として働くことも視野に入れてみると良いでしょう。
派遣薬剤師は、自分の希望に合った勤務先や条件を選ぶことができ、働く環境がより柔軟になります。
具体的な派遣薬剤師の特徴は以下の通りです。
- 自身の希望(勤務地・時間・業務量)に応じて契約できることが多い
- 合わなければ数か月単位で職場を変えることができる
- 派遣会社の社員という扱いなので、職場を変わっても履歴書には傷がつかない
- 時給がパート、場合によっては正社員より高い
ただし注意点もあり、派遣求人数は季節や地域、社会情勢など様々な影響を受け変動するので、募集が少ない場合があります。また即戦力として期待されるためある程度の経験が必要です。
のんびりと働きたいという薬剤師には派遣薬剤師はおすすめですが、経験の浅い薬剤師にはあまり向かないので注意しておきましょう。
のんびり働くための人間関係の築き方
のんびり働くためには、人間関係の築き方も重要です。コミュニケーションを大切にし、自分の意見を適切に伝えることで、職場の人間関係や環境が改善されることがあります。
また、他人と協力して仕事を進めることで、働く上での負担を軽減し、のんびりと働くことが可能になることもあるでしょう。
職場の人間関係の構築:コミュニケーションが鍵
のんびり働くには、実は職場での人間関係も重要です。
厚労省の「医療従事者のメンタルヘルス指針」では、職場内のコミュニケーションが心理的安全性に寄与し、ストレス軽減に有効とされています。
互いの仕事やプライベートを理解できれば精神的にものんびり働くことができるようになるので、他の薬剤師やスタッフと積極的に話すよう心がけましょう。
ストレスとの付き合い方:自分のペースを守る
のんびり働くにはストレスとも上手く付き合うことが重要になります。
時間に追われたり、周囲からのプレッシャーもありますが、まずは無理のない自分ペースで業務を進めるよう心がけると良いでしょう。
薬剤師においても「バーンアウト(燃え尽き症候群)」のリスクがあり、働き方の見直しは重要です。
どうしてもストレスを感じる場合には、ペースを乱されない職種も検討してみましょう。
まとめ|薬剤師でのんびり働きたいならリサーチは徹底的に
薬剤師としてのんびり働きたい場合は、働き方や職場環境についてのリサーチを徹底的に行いましょう。
今回ご紹介したポイントを参考に、自分に合った働き方や環境を見つけることができます。
さらに詳しい情報やアドバイスが欲しい方は、転職サイトや転職エージェントに登録して相談することをおすすめします。
これからの薬剤師としてのキャリアを検討するうえで、ぜひ参考にしてください。