スズケンはやばい!医薬品卸は3つの理由で4大卸も潰れる?

「スズケンはやばい?」「そもそも医薬品卸業界自体やばいの?」と気になっている方向けの記事です。

この記事では、スズケンや医薬品卸は本当にやばいのか、大手スズケンも含む4大卸も潰れる可能性があるのか、について詳しく解説します。

この記事を読むことで、スズケンや医薬品卸業界がやばいと言われる理由や、4大卸の業績、医薬品卸業界の転職動向について理解できますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

編集部
編集部

ちなみに、今の年収に納得できていますか?

実は65%の薬剤師が転職で年収UPしています。※1しかも年収100万円アップは37%※2

「私も年収上がりますか?」そんな質問でOK!

”あなたの年収を上げてくれる転職エージェント”を診断してみましょう。

※1:マイナビ薬剤師調査、※2:薬キャリ調査

かんたん10秒!登録なし!

この記事を監修した人

東北大学薬学部を卒業後、ドラッグストアや精神科病院、一般病院に薬剤師として勤務。2022年よりフリーライターとして活動。専門知識を一般の方に分かりやすく伝える、薬剤師をはじめ働く人を支えることを念頭に、医療関連のコラムや解説記事、取材記事の制作に携わっている。福祉住環境コーディネーター1級。マクロビオティック料理とウォーキングを欠かさない生活を心がけている。

スズケンがやばいと言われる5つの理由

医薬品卸大手スズケンが「やばい」と言われる背景には、以下のような問題があります。

  • 経営状況: 薄利多売の構造で利益率は1.5%未満​と低迷。
  • 人員削減: 2017年に約700人、2021年に全社員の3%超が希望退職​するなどリストラを繰り返している。
  • 医薬品卸業界の動向: 医薬品卸大手4社で市場の約8割を握る一角​だが、政府の薬価抑制策で経営環境は厳しい​。
  • 将来性: 薬価引下げや物流費増で収益確保が困難​なため、DX推進など抜本改革が急務​。
  • 不祥事: 病院向けの医薬品入札談合が発覚し、罰金支払いなど処分を受けた​。

このように、スズケンが「やばい」と言われる理由は複合的です。医薬品卸大手としての地位はあるものの、信頼性にも課題が残っているのが現状です。

経営状況

スズケンは医薬品卸大手4社の一角を占める企業ですが、業界構造上の問題から慢性的な低利益体質に陥っています。

利益率は1.5%未満にとどまり、薬価の引き下げや物流費の高騰により、さらに収益性が圧迫されているのが現状です。

特に2023年度は業績の伸び悩みが続き、経営基盤の見直しが迫られています。

人員削減

スズケンでは過去数年間にわたって希望退職制度を導入しており、2017年には約423人、2021年には全社員の3%以上が退職しました。これは業績悪化や構造改革の一環として実施されたもので、社員の間でも不安が広がる結果となりました。

人員削減は業務効率化を目的としていますが、現場への負担増や士気低下につながるケースも見受けられます。

これらが「やばい」と言われる一因となっています。

医薬品卸のリストラが過去最多!スズケンも直面する厳しい現状とは

医薬品卸業界の動向

医薬品卸業界全体は転換期を迎えており、薬価改定のたびに収益が圧迫される構造が続いています。

政府の医療費抑制政策により卸各社は値引き競争を強いられ、経営体力のない企業から淘汰されつつあります。

スズケンを含む大手4社は統合や提携を進めながらも、再編の波に備えていますが経営状態は逆風です。

こうした業界の不安定さが、「スズケン やばい」という印象を強めている要因の一つになっています。

将来性

スズケンは物流の高度化やデジタルヘルス領域への展開を進めているものの、既存のビジネスモデルからの脱却が急務とされています。

すでに医薬品流通では、単なる「運ぶ」から「支える・つなぐ」へと変化が求められており、AIやデータ活用といった分野への投資も始まっています。企業の将来性を左右するのは、業界全体の変化スピードに対応できるかどうかです。

スズケンが業界ニーズの変化に対応できるのか、将来性の不透明さも「スズケンがやばい」と言われる要因のひとつです。

不祥事

スズケンは過去に医薬品入札談合の関与が報道され、公正取引委員会からの調査や罰金支払いが行われました。

不祥事は企業の信頼性を損ない、医療現場や取引先からの信頼回復にも時間を要します。また、企業イメージの悪化は新卒採用や人材確保にも影響を与えるため、将来的な組織運営にもマイナスとなります。

こうした経緯も「スズケン やばい」と言われる背景にあります。

スズケンがやばいと言われる職場の内情・口コミ

スズケンがやばいと言われる背景には、スズケンの退職理由や働き方などの内情もあります。

口コミやアンケートでわかったスズケンの内情を紹介します。

退職理由

スズケンの退職理由として多く挙げられるのが、業界の将来性への不安と、社内構造の変化に対する不満です。

「営業のやりがいはあったが、出荷調整の対応が多く得意先からのクレームも増え、精神的に消耗した」という声があるように、現場の負担感は無視できません。

また、「人員削減のスピードが速く、ベテランがどんどん退職していくのが不安だった」という口コミもあり、早期退職制度の常態化に不信感を抱く社員も少なくないようです。

卸業界の構造変化や収益悪化により、社内の士気低下が離職の一因となっています。

「人員削減が続いていて、毎年誰かが辞めるような空気。会社の将来が読めないのが一番の不安要素。」(出典:OpenWork


働き方

スズケンの働き方に関しては、職種や部署によって評価が分かれます。

営業職や配送部門では「朝が早く、夜は遅い。訪問件数も多く、数字のプレッシャーもある」との声が多く、長時間労働が常態化している実態が見えます。

一方で事務系職種では「休暇は比較的取りやすい。有給取得率も高く、長期連休も可能だった」というポジティブな意見も。

とはいえ、「事務員の人数がギリギリで、1.5~2人分の業務を任されている感覚がある」といった業務過多の声もあり、人手不足が職場に影響を与えていることがわかります。

「1人で複数業務を兼任するのが当たり前になっていて、事務職でも余裕はない」(出典:Yahoo!しごとカタログ
「営業は残業が多い。休日出勤もあった。数字を詰められる文化が根強い」(出典:転職会議

医薬品卸も本当にやばいのか?

医薬品卸業界は「やばい」と言えます。

この記事で「やばい」と表現しているのは、主に以下の3つの問題があるからです。

  • 医薬品卸業界の経営状況の問題
  • 医薬品卸企業のコンプライアンス問題
  • 医薬品卸企業の人材問題

以下ではまず、医薬品卸業界の全体について、解説していきます。すでに医薬品卸業界で働いていて、状況を理解している方は飛ばして構いません。

医薬品卸の状況概要

医薬品卸とは、製薬企業から薬局や病院に医薬品を供給する企業のことで、業界全体で大手から地方の中小企業までが存在します。

ただし、現在医薬品卸業界は厳しい状況にあります。

原因の一つは薬価の引き下げです。近年は医療費抑制のために薬価が下がることが多く、医薬品卸業界の利益が薄利となっています。

この他にも、取引先である薬局や病院も適切な価格で医薬品を確保することが求められていること、医薬品の運搬や温度管理には厳重な管理に努めなければならないことなど、医薬品卸業界にかかる負担が大きくなっている状況です。

医薬品卸業界の厳しい現状
  • 薬価の引き下げ
  • 取引先(薬局・病院)への低価格提供
  • 医薬品の運搬・管理コストの負担

このような背景から、医薬品卸業界は競争の激化と将来性の不安から、「やばい」と言われるようになっています。

医薬品卸の構造と主要企業

日本の医薬品卸業界では、大手企業と中小企業が混在しています。

主要な大手企業としては、アルフレッサHD、メディパルHD、スズケン、東邦HDなどがあり、これらの企業は多くの薬局や病院と取引しています。

主要大手企業
  • アルフレッサHD
  • メディパルHD
  • スズケン
  • 東邦HD

一方で、地方を中心に展開する中小の医薬品卸企業も存在します。

顧客とのなじみや地域に精通したサービスが強みとなることもあります。

医薬品卸は大手だけではサービスの供給が行き渡らず、中小の医薬品卸の存在は必要不可欠です。

確かに医薬品卸は厳しい経営状況にありますが、地域医療への貢献度が高い業種であるため、無くなることはないと見られています

監修者 藤野
監修者 藤野

地方の医療機関では、これら大手卸よりも地方中小卸がトップシェアを占めていることもあります。

医薬品卸が抱える課題

医薬品卸業界が抱える課題の一つは、医薬品の市場価格競争です。

病院や薬局が医薬品を安定かつ適正な価格で確保するため、医薬品卸同士の競争が激化している背景があります。

また、複数の医薬品卸が同じ病院や薬局と取引することがあり、競争相手との差別化が求められます。

さらに、医療施設が選ぶ医薬品卸業者の選定基準が厳しくなっており、品質やサービスの向上も求められていることも医薬品卸の課題です。

これらの課題に対応できない企業は徐々に淘汰されていく状況にあり、医薬品卸業界は継続的な改善や革新が必要な業界です。

そのため、医薬品卸はやばいと言われることも多く、決して楽観できる状況ではないと言えます。

医薬品卸業界のやばい3つの動向

医薬品卸がやばいと言われるのには、大きく3つの理由があります。

  • 営業利益率の低迷
  • 談合と企業間の不正取引
  • リストラと離職率

それぞれ、経営・コンプライアンス・人材の側面から医薬品卸業界はやばいと言われています。

この3つの動向は、今後の医薬品卸の将来性を占う重要な要素になりますので、詳しく確認しておきましょう。

営業利益率の低迷

最近の医薬品卸業界では、アルフレッサ、スズケン、メディパルなど大手企業の営業利益率が低迷しています。

例えば、24年3月期の各社の業績を見ると、アルフレッサHDの医薬品卸事業の営業利益率は1.35%(前期比+0.22ポイント)、スズケンは1.46%(前期比+0.05ポイント)、東邦HDは1.31%(前期比+0.13ポイント)、メディパルHDは1.33%(前期比▲0.12ポイント)となっており、各社の営業利益率は約1.3%ほどです。

社名営業利益率前期比
アルフレッサHD1.35%※1+0.22ポイント
スズケン1.46%※2+0.05ポイント
東邦HD1.31%※3+0.13ポイント
メディパルHD1.33%※4▲0.12ポイント
上場企業平均2.33%※5

※1:アルフレッサ24年3月期決算短信※2:スズケン24年3月期決算短信※3:東邦HD24年3月期決算短信※4:メディパルHD24年3月期決算短信※5:日本取引所グループ24年3月期調査レポート

上場している卸売業の平均営業利益率は2.33%であるため、医薬品卸企業は厳しい経営状況にあると言えます。

また、25年3月期の各社の業績予想でも、アルフレッサは3.0%の減益、スズケンは3.7%の減益、東邦HDは5.9%の減益メディパルHDは5.6%の増益を見込んでおります。

業界全体としても売上は減少しており、今後も厳しい状況が続くと見られています。

談合と企業間の不正取引

医薬品卸企業の経営状況とは別に、やばいと言われている問題もあります。

それは、医薬品卸業界での談合や企業間の不正取引です。

例えば、アルフレッサ、スズケン、メディパルなどが、公取委の立ち入り検査を受けたり、病院との取引をめぐる談合があったことが公表されています。

※一般社団法人 日本医薬品卸売業連合会 会員構成員企業への公正取引委員会による強制調査について

これらの不正行為により、企業のコンプライアンス体制が問われ、株価や企業イメージにも影響が出ています。

このことから、医薬品卸業界全体で公正な取引や適正な競争が求められており、規制当局からの監視も厳しくなっています。

リストラと離職率

続いて、医薬品卸業界がやばいと言われているのは、リストラと離職率の問題です。

卸業界では、利益削減やコスト削減のためのリストラがあることや、薬価改定や規制による価格競争の影響で労働環境が厳しくなっていことで、離職率が上昇しています。

企業は離職率対策として、人材育成や労働環境の改善にせまられていますが、経営状況も厳しいため、改善に至っていない企業も多いのが現状です。

就職・転職の際には、企業の内情をよく調査しておくことが必要になります

医薬品卸の利益構造とランキング

医薬品卸業界は、日本国内では約10兆円以上の市場規模を持ち、医薬品の安定供給を支えるインフラとして機能しています。

また、医薬品卸業界は24年3月期時点で、大手4社の合計売上高が10兆円を超える寡占状態であり、これらの企業は全国的な物流網を駆使して、迅速かつ正確な供給体制を構築しているのが特徴です。

医薬品卸業界の売上高や営業利益率のランキングは、アルフレッサ、スズケン、メディパルなどがトップに位置しています。

以下で、企業ごとの売上高や利益率から経営状況を解説していきます。

※日経COMPASS船井総研コラム

医薬品卸の主要企業の利益率とランキング

医薬品卸業界では、アルフレッサ、スズケン、メディパル、東邦などが主要企業として知られています。

これらの企業の利益率を比較することで、業界の競争力や企業の健全性を把握することができます。

2403期の営業利益額のランキングでは、スズケンがトップに位置しており、続いてアルフレッサHD、メディパルHD、東邦HDとなっています。

営業利益ランク社名営業利益率営業利益
スズケン1.46%34,875
アルフレッサHD1.35%38,460
メディパルHD1.33%47,330
4東邦HD1.31%19,331

参照:アルフレッサ24年3月期決算短信スズケン24年3月期決算短信東邦HD24年3月期決算短信メディパルHD24年3月期決算短信

医薬品卸企業の売上高の評価

企業への転職にあたって、候補となる企業の財務指標を分析することは、転職後のキャリアに少なからず影響してきます。

編集部
編集部

あっちの企業にしておけばよかった…。とならないように、必ず確認しておきましょう。

医薬品卸企業の業績は、売上高、営業利益、営業利益率などの指標によって分析されます。

中でも売上高を比較することで、企業の規模や競争力・市場でのポジションを評価することが可能です。

売上高のランキングは以下の通りです。

売上高ランク社名売上高営業利益率
メディパルHD3,558,7321.33%
アルフレッサHD2,858,5001.35%
スズケン2,386,4931.46%
4東邦HD1,476,7121.31%

参照:アルフレッサ24年3月期決算短信スズケン24年3月期決算短信東邦HD24年3月期決算短信メディパルHD24年3月期決算短信

主要大手4社の売上高を確認すると、メディパルHDが1位です。

メディパルHDは営業利益は3位であったものの、売上高ではトップです。つまり、メディパルHDは規模も大きく取引量も多いですが、競合と比較してうまく利益を出せていないことがわかります。

逆にスズケンHDは、売上高は3位と上位2社と比較して低いものの、営業利益率ではトップです。そのため、スズケンは取引をうまく利益に結びつけていると言えます。

編集部
編集部

これらの企業のほか、医薬品卸企業のランキング一覧については、【医薬品の卸会社一覧】これでわかる!81社の年収と特徴を総まとめ!で詳しく解説していますので、ぜひ企業研究や転職活動の情報収集の参考にしてください。

医薬品卸のスズケンや4大卸も潰れる?

医薬品卸業界の4大卸企業は、アルフレッサ、スズケン、メディパル、東邦とされていますが、最近ではこれら企業も競争激化による業績低下が目立ちます。また、業界内の競争以外にもインターネット通販やジェネリック医薬品の普及など、市場環境の変化も影響を及ぼします。

しかし、これらの企業は長年の実績や信頼を持っており、新たな事業展開や販路拡大などの事業施策や財務の健全性はあるため、すぐに潰れるようなことはないでしょう。

以下では4大卸各社の特徴や強みについて解説していきます。

メディパルの強みと特徴

メディパルは、医薬品卸業界で高いシェアを持つ企業です。

メディパルの強みと特徴は、国内外に展開する幅広いネットワークや、医療機関との連携を活かしたサービスが挙げられます。また、動物用医薬品・食品加工原材料卸売等関連事業や業界最先端の情報システム、スピーディな物流など効率的な業務遂行にも力を入れています。※メディパル公式HP

企業の経営方針にも社会貢献を掲げており、医療環境の向上にも注力しています。

これらの要素が、メディパルの強みと特徴を支える要因です。

アルフレッサの強みと特徴

アルフレッサは、医薬品卸業界でトップシェアを誇る企業で、国内外の医薬品メーカーと提携し、さまざまな医療機関や薬局に製品を提供しています。同社の強みは、広範囲に及ぶ取引先ネットワークや、豊富な製品ラインナップが挙げられます。

例えば、再生医療等製品に対応した保管・輸送設備の全国展開も特徴の一つです。※アルフレッサ公式HP

アルフレッサ再生医療保管庫の全国マップ
アルフレッサの再生医療流通ステーションと再生医療製品庫のマップ

また、アルフレッサは業界最大手であることを活かし、医薬品の流通を効率化する取り組みや、顧客対応力の向上にも力を入れています。さらに、医薬品だけでなく、医療機器や健康食品など、多岐に渡る事業展開を行っており、これらの分野でも競争力を保っています。

スズケンの強みと特徴

スズケンは、医薬品卸業界でトップクラスの市場シェアを誇っています。

スズケンは独自の強みとして、幅広い地域の病院や薬局への提供力や、専門性の高いサービスを展開しています。また、取引先との強固な関係を築くことで、安定した業績を維持しているのも特徴です。このほか、競争相手との差別化を図るため、営業力や教育プログラムなどにも力を入れています

これらの要因が、スズケンの市場シェアと競争力を支えています。

東邦薬品の強みと特徴

東邦薬品は、製薬企業として国内外で高い評価を受けている企業です。

その強みと特徴は、独自の研究開発力による高品質な製品が挙げられます。また、地域に密着した営業活動や、取引先との強固な信頼関係を構築しているのも特徴の一つです。

東邦薬品は、患者ニーズに応えるため多岐にわたる商品ラインナップを展開しており、現場の声を取り入れた開発を行っています。これらの要素が、東邦薬品の強みと特徴を形成しています。

医薬品卸の仕事のリアルな口コミ

医薬品卸の仕事についてのリアルな口コミを紹介します。

営業職として、医療機関や薬局に薬を供給する役割を担っており、コミュニケーション能力や情報収集が求められる職種です。一部の口コミでは、ノルマや長時間労働が指摘されていますが、反面、高い報酬やキャリアアップのチャンスもあるとされています。

また、他の医薬品卸企業との競争も激しく、業界全体での注目度が高いため、日々の仕事にやりがいを感じる人も多いようです。

一方で、医薬品卸業界が変化の時期を迎えており、新たなビジネスモデルの開拓や事業展開も求められています。

これから医薬品卸の仕事に携わる方は、業界の動向や今後のキャリアについても考慮しておくことが重要です。

医薬品卸のMSの平均年収

医薬品卸業界のMS(マーケティングスペシャリスト)の20~30代の平均年収は、一般的には455万円ほどとされています。

年齢平均年収参考:MS・MR平均年収(転職会議)
20代415万円490万円
30代559万円676万円
合計455万円583万円
※MSの年収に関する公的なデータはないため、ゆとヤク!の調査による

参照:マイナビエージェント職種別平均年収ランキング メディカル営業(MS/医療機器等)転職会議MR・MSの年収まとめ (給料/平均年収/企業名などを集計)

ただし、企業や役職、働く地域によって大きく異なります。大手企業では、やや高めの年収が支給される傾向にありますし、東京などの都市部では地方に比べて高い報酬が支払われることもあります。

また、業績や経験に応じたインセンティブ制度がある企業も多く、ノルマを達成すれば年収アップの可能性もあります。

しかし、その反面、厳しいノルマや営業成績の評価が年収に大きく影響するため、安定した収入を求める方には向かない職種とも言えます。

編集部
編集部

より詳しくMSの年収を調べたい方は、MS(医薬品卸販売担当者)の年収と推移を徹底解説で具体的に解説しているので、ぜひ参考にしてみてくだい。

医薬品卸MSの評判と口コミ

医薬品卸MSの評判や口コミは、やはり営業職特有の厳しいノルマや長時間労働に苦労しているという意見が多いですが、高い報酬や成果に応じたインセンティブ制度が魅力だという声もあります。

また、医療関係者とのコミュニケーションや新薬情報の収集など、専門的な知識を身につけられる面や自分の営業スキルが試される点もやりがいを感じている人が多いようです。

しかし、医薬品卸業界の競争が激しいため、ストレスやプレッシャーに耐えられる強い精神力が求められるとの意見もあります。

医薬品卸と薬剤師との関係

医薬品卸と薬剤師の関係は密接であり、薬剤師が必要とする医薬品を効率的に供給する役割を医薬品卸が担っています。

また、新薬の情報提供や適切な使用法の指導、副作用の対処法など、薬剤師の業務をサポートする情報提供も行っています

薬剤師が質の高い薬物療法を提供するためには、医薬品卸との良好な関係が欠かせません。

つまり、薬剤師から医薬品卸のMSへの転職は親和性が高く、薬剤師の方は医薬品卸MSへ転職してすぐに業務の成果を出しやすいとも言えます。

今後、医療現場での薬剤師の役割がより一層重要視される中で、医薬品卸と薬剤師の協力関係はさらに強化されることが予想されます。

編集部
編集部

ただし、薬剤師から医薬品卸への転職に関しては、知っておくべきことがいくつかあります医薬品卸へ薬剤師が転職するための基礎知識!わかる解説で詳しく解説していますので、ぜひチェックしてみてください。

医薬品卸MSの業務の一日

医薬品卸MSの業務は、主に製薬メーカーからの医薬品を病院や薬局に提供する役割を担っています。

具体的な業務としては、以下のように様々なステップがあります。

病院や薬局を回り

まず一日の始まりは、自分の担当エリアにある病院や薬局を回り、必要な医薬品を提供します。その際、医療機関との関係を構築し、医薬品の需要を把握し調整します。

営業回り

次に、業界内での最新情報や新製品情報をキャッチし、顧客に提案します。顧客ニーズに合わせた商品提案が重要となります。

在庫管理・発注

在庫管理や発注業務も担当し、適切な在庫量を維持し、薬価や取引条件を調整していきます。

トラブル対応

営業活動の中での問題やトラブル対応も業務の一部です。速やかに対応し、信頼関係を築くことが大切になります。

業務時間外

自己研鑽や商品知識の向上、営業スキルの磨きなどもMSとしては重要な要素となります。

監修者 藤野
監修者 藤野

ただ、医療機関の都合に合わせた勤務になるので、早朝や夕方の訪問、土日の緊急配送、休日当番などの業務も発生します。

医薬品卸の転職動向

医薬品卸業界の転職動向としては、安定した業界であるものの、求人数・求職者数ともコロナ禍以前の水準まで回復していません。有効求人倍率も横ばいで、転職しやすい業界ではないでしょう。

求められる経験としては、薬剤師経験やMRの経験、コミュニケーション能力などが重要視されます。

ただし、多くの医薬品卸企業は地方にも事業展開しており、地方での転職も活性化しています。そのため、地域密着で働ける人材は需要が高く、地域でのキャリアアップを望む転職者には好機です。

医薬品卸へ転職した時のキャリアパス

医薬品卸へ転職した際のキャリアパスとしては、MSとして入社するケースが多いです。

その後、経験やスキルを重ねることで、担当エリアや業務範囲を拡大し、マネージャー職や営業企画部門などへ昇進することが可能です。

また、医薬品卸企業内には複数の事業部や部門があるため、社内での異動や新事業開発への参画など、幅広いキャリアパスが存在します。

そのため、自分の能力や志向に合わせたキャリアを描くことができます。

医薬品卸からのキャリアパス

医薬品卸からのキャリアパスとしては、自分の経験やスキルを活かして、製薬会社MRや医療機器メーカー、他の医薬品卸などへの転職が考えられます。

MSからMRへの転職は比較的多くあり、それ以外ではMSから製薬会社の営業部門やマーケティング部門に転職するケースもあります。また、医療業界以外へのキャリアチェンジでは、流通業界や医療機器メーカーの営業などへの転職も考えられます。

監修者 藤野
監修者 藤野

MSから薬にこだわらない他業界への転職は、選択肢として「あり」です。MSは意外と薬学部出身の人が少ない印象で、MRと比べると薬剤師の希望条件に合わないのかもしれません。

なお、MRの年収は医薬品卸と比較して高額です。MRの業務や年収について詳しく知りたい方は、MRの給料は高すぎ?30代製薬会社営業が年収1000万超えの裏側でも詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

医薬品卸の離職率と求人市場の変化

近年、医薬品卸業界では離職率が高まっています。そのため、求人市場にもコロナ禍以前と比較して変化があります。

医薬品に限らない卸売業の有効求人倍率については、コロナ禍からの求人数の回復で徐々に増加していたものの、2023年以降は有効求人倍率は横ばいとなっています。

具体的には、卸業界の有効求人倍率はコロナ禍以前は約1.7倍だったのに対し、2024年3月では約1.28倍と低下したままです。

この理由は、医療業界全体の厳しい経営環境や、働くスタッフの負担が増加しているためと見られています。

現在の医薬品卸の求人市場では、求職者も減り、求人も増えていないのが現状です。

公的データはないため、マイナビの調査レポートより 参照:https://career-research.mynavi.jp/wp-content/uploads/2024/05/2024-5-oroshiurigyo.pdf

医薬品卸業界で求められるスキル

医薬品卸業界で求められるスキルは、営業力やコミュニケーション能力などの基本的なビジネススキルのほか、業界特有の知識や専門性が重視されます。

具体的には、医薬品の知識や製薬業界のビジネス状況を把握し、顧客のニーズに対応できる力が求められています。

また、医薬品卸業界では厳しい法規制やルールが存在するため、法令遵守を理解し、社内外の関係者と円滑なコミュニケーションができる力も重要とされています。

さらに、グローバル化が進む中で、英語力を有することも求められるケースが増えています。これらのスキルを磨くことで、医薬品卸業界でのキャリアアップや転職に成功する可能性が高まります。

編集部
編集部

医薬品卸業界の将来性については、医薬品卸の将来性は?業界のM&A動向と薬剤師転職への影響で詳しく解説しています。医薬品卸業界だけでなく薬剤師にも関わる内容なので、ぜひチェックしてみてください。

まとめ|医薬品卸はやばいが次のキャリアパスはある

医薬品卸業界は厳しい状況が続いていますが、次のキャリアパスは存在します。

自分のスキルや経験を活かして転職先を見つけることが可能です。

また、今の業界の状況や求められるスキルを理解し、自分に合った転職先を探すことが大切です。

この記事を参考に、転職に向けた第一歩を踏み出し、自分にとって最適なキャリアパスを見つけてください。