開発薬事とCMC薬事の違いを基本からキャリアパスまで徹底解説

開発薬事とCMC薬事の違いについて、基本から徹底解説します。

薬事職に転職を検討している方でも、開発薬事とCMC薬事の違いを理解している方は多くはありません。

しかし、薬事職への転職活動を進めるにあたって、開発薬事とCMC薬事では業務内容や求められるスキルが大きく変わってきます。

この記事を読めば、開発薬事とCMC薬事のどちらが自分に合っているのか判断できるようになりますので、ぜひ最後まで読んでみてください。

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開発薬事とCMC薬事の基本概念の違い

開発薬事とCMC薬事は、それぞれが薬事業務の異なる領域を担当しています。

開発薬事は新薬の研究開発段階から承認申請までの業務を担当し、CMC薬事は化学製品や製造管理に関する業務を扱います。

具体的な業務内容は異なりますが、どちらも薬事を扱うことから、市場や業界の動向を把握し、社内外との調整や折衝が重要なスキルとなります。 

開発薬事とは?

開発薬事は、新薬の研究開発段階から承認申請までの業務を担当する部署です。

具体的には、企業が開発している医薬品に関するデータや書類を収集し、承認申請に必要なCTD(コモン・テクニカル・ドキュメント)の作成を行います。

この過程では、厚生労働省やPMDA(製品評価管理局)などの当局との交渉や、戦略策定が重要な役割を果たします。

また、海外での承認申請や薬価収載に関する業務も担当し、英語力や海外規制の知識が求められることがあります。

業務には多くの書類作成が伴い、経験や専門知識が重要と案ることが一般的です。 

CMC薬事とは?

CMC薬事は、薬事の中でも化学製品や製造管理に関する業務を扱う部署です。

具体的には、CTDの中のChemistry, Manufacturing, and Control(CMC)に関わる情報の提供や取得を行います。

この業務範囲は、製造工程の設計や品質管理、GMP(製造業者の適合性)に関する規制など、広範にわたります。

海外での薬事申請や製品の輸出入に関する業務も担当し、英語力や規制の知識が求められるケースも多いです。

業務には詳細な専門知識が必要であり、経験豊富な人材が重宝されます。

開発薬事とCMC薬事の根本的な違い

開発薬事とCMC薬事の根本的な違いは、業務範囲と担当する領域です。

開発薬事は新薬の研究開発段階から承認申請までの業務を担当するため、企業内の戦略策定や当局との交渉が重要な役割を果たします。

これに対し、CMC薬事は化学製品や製造管理に関する業務を扱っているため、製造現場での品質管理や規制対応が主な仕事となります。

求人市場においては、両者は企業内の異なる部署が担当することが多く、市場の求人件数や募集内容も異なります。

バイオベンチャー企業やパイプラインが豊富な企業では、開発薬事の求人が増加している傾向があります。

一方で、CMC薬事は市販薬品の品質管理や製造現場での経験が有利とされる職種で、転職市場での選択肢も多いです。

どちらも薬事に関わる部署ではありますが、業務内容や求められるスキルが異なります。

開発薬事の仕事内容 

開発薬事は、新薬の開発や医療機器の承認申請を行う業務です。

これには、臨床試験や製造販売承認の申請書類の作成、法令に適合した製品開発の戦略立案、当局とのやり取りが含まれます。

また、チームをリードし、個々の側面から全体の進捗を管理し、薬事法等の法令に合わせた計画を立案・実行する役割も担当します。

開発薬事は新薬や医療機器の開発において、当局との窓口役を果たし、適切なアドバイスや対応を行うために医療や医薬品業界の動向に詳しくなることが求められます。

開発薬事の業務プロセスと役割

開発薬事の業務プロセスは、新薬や医療機器の開発計画から販売までの一連の流れを担います。

具体的には以下の業務があります。

  1. 開発計画の立案
  2. 臨床試験の実施
  3. 承認申請書類の作成・提出
  4. 当局との審査やり取り
  5. 適切な販売戦略の策定

役割としては、チームの中心となって業務を進め、当局とのコミュニケーションを円滑に行い、法令や薬事に関する知識を活用して適切な対応を行うことが求められます。

また、個々の業務に対して責任を持ち、進捗管理を行うことも大切です。

開発薬事に求められるスキルと知識

開発薬事に求められるスキルは以下のものがあります。

  • 法令や薬事に関する専門知識
  • 英語力
  • プロジェクト管理能力
  • コミュニケーション力

また、新薬や医療機器の業界動向や技術的な知識も必要です。

これらのスキルや知識を活用し、チームをリードして適切な戦略立案や対応を行い、業務を円滑に進めることが期待されます。 

開発薬事のキャリアパス

開発薬事のキャリアパスは、まず一般的な薬事担当や専門職として経験を積み、次にチームリーダーや部門のマネージャーへと昇進することが考えられます。

さらに上位のポジションとしては、企業の経営陣や国内外の薬事当局との交渉を行う役職などがあります。

また、開発薬事の経験を生かして、他業界への転職や独立してコンサルタント業を行うことも可能です。

CMC薬事の仕事内容 

CMC薬事は、医薬品の承認申請に必要なCMC(Chemistry, Manufacturing, and Controls)に関する情報を詳細に管理し、薬事当局への申請資料を作成する業務です。

具体的には、製品開発段階から製造・品質管理までの情報を収集し、規制当局の要求に応じた形式で文書化し、提出を行います。

また、承認後も経験や状況に応じて、製品の安全性や品質に関する新しいデータを追加して提出することもあります。

CMC薬事の業務プロセスと役割

CMC薬事の業務プロセスは、大きく分けて以下のようになります。

  • 医薬品開発におけるCMC情報の収集
  • 申請資料の作成
  • 規制当局への申請
  • 承認後の変更管理

その中で、CMC薬事担当者の役割は、関連部門と連携して必要な情報を収集し、規制当局の要求に適した資料を作成することです。

また、承認後の変更管理では、規制当局への報告や承認取得を行い、製品の品質を維持・向上させる役割も担います。

CMC薬事に求められるスキルと知識

 

CMC薬事に求められるスキルと知識は以下の通りです。

  • 化学・製剤・製造技術の知識
  • 医薬品規制の理解
  • データ分析力
  • コミュニケーション力
  • 英語力(海外規制当局とのやり取りが必要な場合)

これらのスキルと知識を身につけることが、CMC薬事の業務を遂行する上で重要だと言えます。

CMC薬事のキャリアパス

CMC薬事担当者としてのキャリアパスは、経験とスキルを積み上げることで、更に上級のCMCマネージャーやディレクターといった管理職へ昇格することが可能です。

また、CMC薬事だけでなく、医薬品開発全般や製品戦略などの幅広い領域に転じることも可能です。

さらには、バイオ技術を活用した新薬開発や、国内外の規制情報を扱うグローバル業務など、専門性の高い業務へのチャレンジもあります。

開発薬事への転職活動で評価される仕事経験・スキル

開発薬事へ転職する場合、評価される仕事経験やスキルがあります。

具体的には、プロジェクトマネジメント経験や薬事申請業務の理解です。

これらの経験やスキルがあると、開発薬事への転職は有利ですが、たとえ未経験であっても、下記の業務をカバーできれば転職も可能なケースもあります。

開発薬事への転職時の評価ポイントを押さえておきましょう。

新薬開発のプロジェクトマネジメント経験

新薬開発において、プロジェクトマネジメントの経験は非常に重要です。

これは、複数のステークホルダーとの調整や、開発計画の立案、予算管理、進捗確認など、広範な業務をカバーします。

特にグローバルなプロジェクトでの管理経験があると、医薬品の開発スピードを上げ、リスク管理がしっかりできる点で高く評価されます。

薬事規制の理解と申請経験

薬事申請は、医薬品を市場に出す上で不可欠なプロセスです。

各国の規制に対応するため、国内外の法規制に精通し、申請手続きの経験があることは大きなアドバンテージです。

特に、複雑化する規制に対応する柔軟性と深い理解が求められます。

グローバル規制や国際プロジェクトでの業務経験

医薬品開発は、国際的な規制やプロジェクトを扱うことが多くなっています。

多国籍チームとの連携や、各国の規制当局との協議を経験していることは、特に外資系企業やグローバル展開を目指す企業で高く評価されるスキルです。

英語力

グローバルなプロジェクトや海外当局とのやり取りが必要となるため、英語力は必須です。

英語でのコミュニケーション能力が高いほど、グローバルな案件での業務範囲が広がります。

特に、契約交渉や申請書類の作成などでの活用が重要視されます。

交渉スキルや対人関係の構築力

薬事業務では、規制当局や社内外の多くのステークホルダーと円滑にコミュニケーションを取るため、交渉スキルや対人関係の構築力が求められます。

これらのスキルが強化されている人材は、特にリーダーシップを発揮しやすく、プロジェクトの成功に貢献できるでしょう。

CMC薬事の転職活動で評価される仕事経験・スキル

CMC薬事の分野では、化学、製造、品質管理に関わる知識や経験が重視されます。

特に、製剤化やプロセス開発、品質管理に携わる経験が求められる傾向にあります。

規制当局とのやり取りや承認申請書類の作成が必要で、実務経験や専門知識が転職時に評価されます。

また、製薬企業に限らず、CRO(医薬品開発受託機関)での経験も転職において有利です。

グローバルプロジェクトへの参画経験

CMC薬事の職務では、グローバルな製薬プロジェクトへの参画経験が非常に高く評価されます。

国際的な規制に準拠した文書作成や申請対応は必須で、ICHガイドラインやFDA、EMAなど、各国の規制を理解し、プロジェクトを円滑に進めるためのスキルが重要です。

特に、外資系企業や多国籍プロジェクトでは、このようなグローバル経験が求められる場面が多く、キャリアアップに繋がります。

先端モダリティの専門の研究経験

近年、製薬業界では先端モダリティ、例えば遺伝子治療やバイオ医薬品などの専門的な研究経験が評価される傾向にあります。

新しい治療法の開発が進む中、これらの先端分野での知識と実践経験は、転職時に大きな武器となります。

特に、CMC薬事の分野では、これらのモダリティに関連した製造プロセスや品質管理の知識が強く求められます。

国内外レギュレーションの知見

CMC薬事の仕事では、国内外の医薬品規制やレギュレーションに対する深い知識が不可欠です。

日本のPMDA、米国のFDA、欧州のEMAなどの規制に精通し、製品が各国の基準を満たすようにサポートする役割を果たします。

このため、転職活動では、国内外のレギュレーションに関する知識や経験が非常に重要視されます。

英語力必須が大半

CMC薬事のポジションでは、特に外資系企業や国際的なプロジェクトにおいて、英語力が必須とされることが多いです。

英語でのコミュニケーション能力、特に文書作成や会議でのやり取りが求められるため、英語力は転職時に大きなポイントとなります。

また、英語での規制文書の作成や提出も頻繁に行われるため、ビジネスレベルの英語力が必須となります。

他職種への理解・経験

CMC薬事の職務では、他の職種、特に製造、品質管理、プロジェクトマネジメントなどへの理解が求められます。

製薬業界は多職種が連携してプロジェクトを進めるため、各部門との協力が不可欠です。

多職種の経験や理解があることで、円滑なコミュニケーションとプロジェクト進行が可能となり、転職時にも強いアピールポイントとなります。

開発薬事とCMC薬事の転職市場

開発薬事とCMC薬事は、医薬品開発業界において非常に重要な役割を果たしています。

この分野の転職市場は、医薬品会社や製薬企業の需要が高く、求人数も増加傾向にあります

また、グローバル化が進む医薬品業界では、海外での業務や英語力を持つ人材が求められており、より幅広いキャリアチャンスが広がっています。

転職サイトを活用して、開発薬事やCMC薬事の求人情報をチェックし、自分に適した企業を見つけることが重要です。 

薬事の求人市場の現状

現在、薬事の求人市場は活況を呈しています。

医薬品開発や医療機器業界において、薬事担当者の役割がますます重要になっており、企業は経験豊富な薬事担当者を募集しています。

また、新薬開発が活発化していることや、国内外の規制要件が厳しくなる中で、薬事業務の専門性が高まっています。

これに伴い、求人数も増加しており、転職市場での競争が激しくなっています。

求人情報を調べる際には、転職サイトを利用することで、最新の薬事求人情報を網羅できるでしょう。 

未経験から薬事へのキャリア転向

薬事職へのキャリア転向は、未経験者にとっても十分可能です

薬剤師や製薬業界での経験があれば、それらの知識や経験が薬事業務に生かせるため、スムーズな転職が期待できます。

また、英語力やコミュニケーション能力、専門知識を身につけることで、薬事職へのキャリア転向がより現実的になります。

未経験者向けの研修や資格取得をサポートする企業も存在するため、求人情報を確認しながら、自分に適したキャリア転向を検討しましょう。 

開発薬事とCMC薬事の将来性

開発薬事とCMC薬事の将来性は非常に高いと言えます。

医薬品業界では新薬開発が活発化し、国内外での規制が厳しくなっており、薬事担当者の専門性がますます求められるようになっています。

また、グローバル化が進む現代の医薬品業界では、国際的な規制への対応力や英語力がある薬事担当者が重宝されます。

このような背景から、開発薬事とCMC薬事の専門職は、将来的なキャリアパスでも安定した見通しが持てると言えるでしょう。

薬事業界の動向分析

薬事業界は盛んに発展しており、日本国内外で様々な規制や政策が進行中です。

まず、業界内では承認申請や製品登録に必要な資料の作成や、その他の法規制対応が重要な業務となります。

また、各企業は品質保証や安全性管理にも力を入れており、国内外の当局と密接に協力しています。

さらに、専門性の高いデータ解析や技術が求められており、経験豊富な薬事専門家へのニーズが高まっています。

新薬開発と市場の採用ニーズの高まり

新薬開発分野では最新の技術や研究が急速に進展し、市場の採用ニーズが高まっています

各企業は競争力を維持するため、薬剤開発において効率的で安全な方法を探求しています。

このため、高いスキルや専門知識を持つ薬事担当者が求められるようになっています。

また、海外市場での展開も重要で、英語を使ったコミュニケーション能力や異文化理解力なども必要とされています。

これらのスキルを持つ薬事専門家は、キャリアの幅が広がりやすい傾向があります。

CMCのニーズ継続とモダリティ経験

CMC(Chemistry, Manufacturing, and Controls)に関する薬事業務も、引き続き高いニーズがあります。

特に、新しいモダリティ(治療手法や製剤形態)が開発されることで、製薬企業はCMC薬事に対する要求が変わることがあります。

このため、複数のモダリティに対応できる薬事専門家や、新しい技術を迅速に学べる能力を持つ者が求められています。

開発薬事・CMC薬事への転職成功率を上げる方法

開発薬事やCMC薬事の転職を成功させるためには、自身のスキルや経験を明確にし、戦略的に転職活動を進めることが重要です。

特に、製薬業界は技術的な専門性が求められるため、単に経験を持つだけではなく、その経験をどのように業界や企業に貢献できるかをアピールすることが求められます

また、適切なエージェントのサポートを得て、常に市場の動向にアンテナを張り、長期的な視点で準備を進めることが転職成功のカギとなります。

自身の経験・スキルの位置づけ・強みを把握する

まず、自身のキャリアにおける強みやスキルを正確に把握し、どの部分が企業にとって貢献できるかを明確にしましょう。

例えば、グローバル規制対応の経験やプロジェクトマネジメントのスキルなど、具体的なスキルセットを整理し、それを求人にマッチさせることが大切です。

自己分析を行い、強みを整理することで、自分に最適な求人を見つけやすくなります。

プロジェクト経験内容を明確に伝える

採用側にアピールする際には、過去に携わったプロジェクト内容を明確に伝えることが重要です。

具体的な業務内容や成果、チームメンバーとしての役割、どのような課題を解決したかなど、詳細に説明できると説得力が増します。

また、グローバルなプロジェクトや先端技術に携わった経験は、特に外資系企業では評価されやすいポイントです。

中長期視点で、求人案件にアンテナを張っておく

開発薬事やCMC薬事のポジションは専門性が高く、求人もタイミングが重要です。

そのため、日頃から求人市場の動向に注意を払い、長期的なキャリアプランを考えながら転職活動を行うことが求められます。

特に、製薬業界は新薬の開発スケジュールや規制変更によって求人ニーズが変動するため、常にアンテナを張っておくことが大切です。

CMC薬事に特化したチームを持つ転職エージェントを活用

CMC薬事や開発薬事に特化した転職エージェントを活用することで、専門的なアドバイスを得ることができます。

これらのエージェントは業界特有の情報や非公開求人を持っており、転職活動を効率的に進めるための強力なパートナーとなります。

また、エージェントは企業との交渉や書類の作成サポートも行ってくれるため、転職成功率を高めるための重要なツールとなります。

まとめ|開発薬事とCMC薬事の違い

以上の分析から、開発薬事とCMC薬事はそれぞれ異なる要素を持ちつつ、両者ともに重要な業務であることがわかります。

薬事専門家としてスキルや知識を磨くことで、キャリアの幅を広げることができます。

さらなる情報やアドバイスを求めている方は、ぜひ専門のサポートやコンサルティングサービスを活用してみてください。

次のステップへのアクションを起こし、自身のキャリアをさらに充実させましょう。