薬剤師の職務経歴書の書き方とは?準備から提出方法・マナーまで徹底解説!

職務経歴書の書き方に悩んでいませんか?「自分の経験やスキルをどうアピールすればいいの?」「履歴書と何が違うの?」など、薬剤師が転職を考える際はさまざまな悩みが尽きません。

これまでの薬剤師としてのキャリアを職務経歴書にどう整理し、どのように伝えるかによって採用担当者に与える印象は大きく変わります。

この記事では薬剤師の転職に役立つ職務経歴書の書き方を、準備のステップから基本項目、アピールのコツまでわかりやすく解説します。記事を読めば採用担当者の目に留まり、魅力が伝わる職務経歴書を作成することが可能です。

転職の成功につながる職務経歴書の書き方は、薬剤師の経験を整理し、応募先に合わせて強みを示すことです。実績を数値で表し、専門性を具体的に伝えることで、採用担当者に強く印象づけられる職務経歴書を作成できます。

職務経歴書とは仕事に関する経験と実績を伝える書類

職務経歴書はこれまでの仕事の経験や実績を伝えるための書類です。履歴書では伝えきれない内容を職務経歴書で補うことで、薬剤師としてのキャリアをより具体的に示せます。職務経歴書の役割と目的、履歴書との違いについて解説します。

職務経歴書の役割と目的

職務経歴書の役割はこれまでの仕事経験や強みを採用担当者に詳しく伝え「会ってみたい」と思わせることです。企業は応募者が入社後にどのように活躍できるのかを具体的にイメージできる材料を求めています。職務経歴書には以下の目的があります。

  • 履歴書だけでは伝わらない仕事内容や実績を補足する
  • 自分の経験やスキルが応募先でどのように役立つかを示す
  • 入社後の活躍を伝えてミスマッチを防ぐ
  • 面接で自己PRを深めるための補足資料になる

職務経歴書は書類選考を通過するために自分をアピールするプレゼンテーション資料です。

履歴書との違い

履歴書はプロフィールを伝える書類であり、職務経歴書は仕事の経験やスキルを具体的に示す書類です。採用担当者は応募者が担当した薬剤師の業務内容や成果、身に付けたスキルを職務経歴書で詳しく見て、入社後に活躍できるかを判断します。履歴書と職務経歴書の違いは以下のとおりです。

項目履歴書職務経歴書
目的基本情報や経歴の概要を伝える経験・スキル・実績を詳しく伝える
内容学歴・職歴・資格などを簡潔に記載業務内容・成果・強みを具体的に記載
形式市販の用紙など決まったフォーマット自由形式でA4用紙1~2枚にまとめる

履歴書と職務経歴書は特徴を理解して使い分けることで、採用担当者に自分の魅力を的確に伝えられます。
» 履歴書の書き方のポイント4つと提出方法のマナーを解説

薬剤師が職務経歴書を書く前の準備

職務経歴書を書き始める前の準備を怠ると書く内容がまとまらず、強みを十分に伝えられません。薬剤師が職務経歴書を書く前には以下の準備をしましょう。

  • これまでの仕事経験を整理する
  • 応募企業が求める人物像を理解する
  • 自分の強みと応募企業が求める人材像の一致点を探す

これまでの仕事経験を整理する

職務経歴書を書く際は薬剤師の仕事経験を思い出し、すべて書き出してみることがおすすめです。これまでの仕事経験を整理して情報をまとめることで、自分の得意分野やアピールできる点が明確になります。

職務経歴書を書く前に以下の項目について書き出してみましょう。

項目内容
勤務先・勤務期間薬局、病院などでの勤務歴
役割・役職管理薬剤師、薬局長など
主な仕事内容調剤、服薬指導、記録管理、在庫管理、市販薬販売、在宅訪問対応
処方箋枚数・診療科1日の処方箋対応数、担当していた診療科
実績・改善経験業務効率化の取り組み、改善した事例
教育・指導経験後輩・新人への研修や指導
保有スキル・技術パソコン操作、調剤機器の使用など

小さな経験でも一つひとつを振り返ると、魅力的な職務経歴書を作成できます。

応募企業が求める人物像を理解する

職務経歴書で自分を効果的にアピールするには、応募企業が求める人物像を理解する必要があります。応募企業が求める人物像を理解するために、以下の情報源を活用しましょう。

  • 求人情報の募集要項
  • 応募企業の公式ホームページ
  • 採用サイトの人物紹介や社員インタビュー
  • 職場環境や配属先ごとの業務内容
  • 転職エージェントの情報提供

事前に企業研究を行うことで、採用担当者に響く職務経歴書を作成できます。

自分の強みと応募企業が求める人材像の一致点を探す

応募企業が求める人物像を理解した後は、薬剤師としての経験・スキルと自分の強みを結びつけましょう。アピールポイントと応募企業のニーズが重なる部分を示すことで、採用担当者に「この人なら活躍してくれそう」と思ってもらえます。

自分の強みと応募企業が求める人材像の一致点を探す手順は以下のとおりです。

  1. 成功体験や人から褒められたことなど、自分の強みを書き出す
  2. 応募企業が求めることと照らし合わせる
  3. 共通点を裏付けるエピソードを準備する
  4. 入社後にどのように役立つかを考える

自分の強みと応募企業のニーズを整理しておくと、自己PRや面接での話に説得力が増し、応募企業に適した人材であることを自信を持って伝えられます。
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職務経歴書の基本項目と書き方

職務経歴書には採用担当者に魅力を伝えるための基本項目があります。基本項目を押さえて構成することで、経歴や強みがわかりやすく伝わる職務経歴書になります。職務経歴書の基本項目は以下のとおりです。

  • タイトル
  • 経歴要約
  • 職務内容
  • 生かせる経験・スキル・知識
  • 資格・免許
  • 自己PR

タイトル

職務経歴書のいちばん上には誰の何の書類かが一目でわかるように、タイトルを記載します。採用担当者が職務経歴書を読みやすいよう、シンプルで見やすい見た目を心がけましょう。たくさんの応募書類に目を通す採用担当者にとって、パッと見て内容が理解できる職務経歴書は好印象につながります。

タイトルの書き方は用紙の中央に「職務経歴書」と、本文より大きめの文字で書類名を記載します。職務経歴書を提出する日付と氏名は用紙の右側にそろえて書きましょう。必要に応じて「薬剤師 職務経歴書」として職種を加える書き方も採用担当者に一目で伝わるためおすすめです。

経歴要約

職務経歴書に記載する経歴要約は、これまでの仕事経験を200〜300文字程度で短くまとめる部分です。経歴要約には以下の内容を盛り込み、簡潔にまとめると効果的です。

  • 薬剤師としての年数や勤務先
  • 基本的な仕事内容
  • 特別な経験や実績
  • 今後の貢献意欲

子育てで培ったスキルや強みを仕事の経験や貢献につながる形で職務要約に記載することも有効です。段取り力やマルチタスク能力、傾聴力などは職場でも生かせる力として伝えられます。

職務内容

職務経歴書の職務内容にはこれまで勤務してきた職場ごとに、担当した仕事内容を具体的に記載します。職務内容は採用担当者が応募者の経験やスキルを正確に把握するために必要となる部分です。

薬剤師の場合は勤務した会社や薬局ごとに、以下の情報を整理して職務経歴書に記載することがおすすめです。

  • 勤務先情報と規模
  • 所属部署と役職
  • 担当業務
  • 在宅医療やOTC医薬品の販売経験
  • 医薬品の管理業務
  • マネジメント経験
  • 委員会活動やプロジェクトへの参加経験

勤務先ごとに時系列に沿ってまとめることでキャリアの流れが明確になり、説得力のある職務経歴書になります。

生かせる経験・スキル・知識

職務内容で伝えた経験をもとに応募先の企業で生かせるスキルや知識をアピールしましょう。これまでの経験を振り返り、応募先の仕事内容に合うスキルを職務経歴書に記載します。職務経歴書に記載するべき生かせる経験・スキル・知識は以下のとおりです。

  • 調剤業務の経験
  • 服薬指導のスキル
  • 医薬品管理のスキル
  • マネジメント経験
  • 多職種との連携経験
  • 基本的なPCスキル

生かせる経験・スキル・知識は具体的な数字やエピソードを添えて職務経歴書に記載すると、説得力が増します。薬剤師の専門性や実務力をわかりやすく示せば、高評価につながる職務経歴書を作成できます。

資格・免許

職務経歴書での取得した資格や免許の書き方は業務との関連性が高いものから順番に、正式名称で記載します。資格は知識や技術を客観的に証明し、職務経歴書に記載することで採用担当者に専門性をアピールできます。

薬剤師免許はもちろん、専門性をアピールできる認定資格や業務に役立つ資格も職務経歴書に記載しましょう。職務経歴書には資格・免許と合わせて取得年月日も記載してください。応募先の仕事内容に関連する資格を優先するなど、職務経歴書の書き方を工夫することで、強みをより効果的に伝えられます。

自己PR

自己PRはこれまでの経験で培った強みやスキルを、応募先でどのように役立てられるかを伝える項目です。職務内容だけでは伝えきれない個性や熱意を自己PRに記載しましょう。職務経歴書に記載する自己PRには以下のような要素を盛り込むと効果的です。

  • コミュニケーション能力
  • チームワーク
  • 専門的な知識や資格
  • マネジメント経験
  • 問題解決能力
  • 学習意欲
  • 入社への熱意

薬剤師としての経験をアピールする際は強みを挙げるだけでなく、具体的なエピソードを交えて書くことがおすすめです。
» 薬剤師の自己PRの書き方完全ガイド|事前に準備すべきことや注意点も詳しく解説

薬剤師が職務経歴書を書くときのポイント

薬剤師が職務経歴書で魅力を伝えるには、書き方で押さえておくべきポイントがあります。職務経歴書は単に業務内容を並べるのではなく、伝え方を意識するだけで印象は大きく変わります。薬剤師が職務経歴書を書くときのポイントは以下のとおりです。

  • 実績を数値化して具体的に書く
  • 専門性を強調する
  • 資格や研修歴を書く

実績を数値化して具体的に書く

仕事の実績は数値化して具体的に職務経歴書に記載することで、採用担当者は「何を」「どれくらい」達成したのかを客観的に判断できます。以下のようにこれまでの薬剤師としての経験を具体的な数字に置き換えてみましょう。

項目記載例
処方箋の平均対応枚数1日平均〇〇枚を処理
在庫管理の改善期限切れ医薬品を前年比〇%削減
患者の待ち時間短縮平均待ち時間を〇分短縮
安全性を高める取り組み調剤過誤ゼロを〇年間継続
後輩の指導人数新人〇名を育成
かかりつけ薬剤師の担当患者数〇名を継続フォロー

職務経歴書では実績を数字で示すことで貢献度が明確に伝わり、説得力のあるアピールができます。

専門性を強調する

職務経歴書では得意な分野や深い知識を明確に記載しましょう。採用担当者は自社が求める分野で即戦力となる人材を求めています。職務経歴書により専門性を具体的に伝えれば、職場に合う人材であることを効果的にアピールできます。以下の経験を詳しく職務経歴書に書き、専門性を伝えましょう。

  • 担当してきた診療科や得意領域
  • 在宅医療や訪問服薬指導
  • 医師・看護師とのチーム医療
  • 管理薬剤師としての医薬品管理やスタッフ教育
  • 後輩・新人薬剤師の指導経験
  • 地域向けイベントや健康相談会の企画・運営

これまでの経験を具体的に職務経歴書に記載することで、薬剤師としての専門性や強みが採用担当者に伝わりやすくなります。

資格や研修歴を書く

職務経歴書に資格や研修歴を記載することで学習意欲や向上心をアピールできます。資格は知識やスキルを客観的に証明できるため、採用担当者にとって重要な判断材料です。応募先の仕事内容に合わせて、以下の情報を整理して職務経歴書に記載しましょう。

  • 薬剤師免許
  • 専門薬剤師・認定薬剤師
  • 研修認定薬剤師
  • 学会や研修会への参加経験
  • 登録販売者やケアマネージャーなど関連資格
  • TOEICやMOSなど英語力・PCスキルに関する資格

取得に向けて勉強中の資格があれば「〇〇年〇月取得見込み」と職務経歴書に書くと、専門性だけでなく意欲も伝わります。

職務経歴書の提出方法とマナー

職務経歴書は提出の仕方から応募者の丁寧さや仕事への姿勢が伝わるため、提出方法やマナーにも注意しましょう。せっかく職務経歴書の内容が良くても、提出時の対応で評価を下げてしまうこともあります。以下の職務経歴書の提出方法について解説します。

  • メールで送付する場合
  • 郵送する場合
  • 面接時に持参する場合

メールで送付する場合

職務経歴書をメールで送る際は丁寧でわかりやすい対応を心がけましょう。メールは顔が見えないやり取りだからこそ、基本的なマナーを守ることが高評価につながります。職務経歴書をメールで送付する場合の書き方は以下のとおりです。

項目記載例
件名【職務経歴書送付の件】氏名
宛名○○株式会社 人事部 採用担当者様
不明な場合は「採用ご担当者様」
本文応募職種を明記し「職務経歴書を送付いたします」と簡潔に記載
添付ファイルPDF形式で「職務経歴書(氏名).pdf」
署名氏名、住所、電話番号、メールアドレス

メールの送信前には宛先や添付ファイル、誤字脱字を確認し、応募企業の営業時間内に送ることで丁寧な印象を与えられます。

郵送する場合

職務経歴書を郵送で提出する場合は封筒の書き方や書類の入れ方に注意し、採用担当者に丁寧な姿勢を伝えましょう。職務経歴書を郵送する際に準備するものは以下のとおりです。

  • A4の用紙が折らずに入る角形2号の封筒
  • 添え状(送り状)
  • 書類を保護するためのクリアファイル

書類は 「添え状 → 職務経歴書 → 履歴書」 の順に重ね、クリアファイルに入れて封入します。封筒の表面には応募先の会社名・部署名・担当者名を正式名称で記入し、左下に赤字で「応募書類在中」と明記してください。封筒の裏面には自分の住所と氏名を忘れずに書きましょう。

面接時に持参する場合

職務経歴書を面接に持参する際は書類を丁寧に扱い、渡し方のマナーにも気を付けましょう。書類はクリアファイルに入れ、折れや汚れのない状態で面接会場に持参します。職務経歴書を渡す際はファイルから出して相手が読みやすい向きにし、両手で差し出すことが基本です。

面接官が複数いる場合もあるため、2〜3部余分に職務経歴書を用意しておくと安心です。事前にデータを送っていても面接官が印刷していない場合があるため、職務経歴書を持参しておきましょう。

職務経歴書の書き方を押さえて薬剤師転職を成功させよう

職務経歴書は薬剤師としての経験やスキルを伝え、魅力をアピールするための書類です。履歴書と職務経歴書の違いを理解し、事前に経験や強みを整理することで、採用担当者に伝わりやすい内容に仕上げられます。

職務経歴書は経歴要約や職務内容、資格・免許、自己PRなどを記載します。実績を数字で示したり専門性を強調したりするなど、職務経歴書の書き方を工夫することで説得力を高めることが可能です。

メール送付・郵送・面接へ持参など提出方法ごとのマナーも意識すれば、職務経歴書の内容と印象の両面から評価を高められます。職務経歴書の書き方のポイントを押さえて、薬剤師として理想の転職を実現させましょう。