「日本調剤ってやばいのかな……」
「転職先の候補にしてるけど、日本調剤に転職して大丈夫?」
本記事では日本調剤の“やばい”という噂の真相を、実際に勤務経験のある薬剤師へのインタビューを交えて、わかりやすく解説していきます。
「ノルマが厳しい」「残業が多い」などの悪い評判も見られますが、それらがどこまで事実なのか、経験者でなければわからない実態も多く存在します。
この記事では、
- 日本調剤が「やばい」と言われる理由
- 向いている人・向かない人の特徴
- 経験者が語る“リアルな職場の空気感”
まで解説。転職を検討中の薬剤師が「日本調剤に転職すべきか」を判断できる情報を提供します。
「できるだけ後悔のない選択をしたい」「信頼できる内部の声が知りたい」という方は、ぜひ最後までお読みください。

ててさん(30代)
調剤薬局 管理薬剤師
日本調剤に新卒から6年間勤務

新卒で日本調剤に就職し、3年目から6年目まで管理薬剤師として勤務。
キャリアアップ志向を持ち、早期に店舗責任者としての役割を任される。
現在は複数の店舗マネジメントを目指し他社薬局に転職。
「日本調剤は良くも悪くも数字で評価される会社。向き不向きはあるので、自分が何を求めるかが大事です。」

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日本調剤は調剤薬局2番手の大手

日本調剤は全国に700店舗以上を展開し、業界2位の規模を誇る調剤薬局チェーンです。業界最大手のアイン薬局に次ぐ規模であり、知名度や取引病院の数も非常に多いのが特徴です。
上場企業で経営基盤が安定しており、2025年3月期の売上高は3,605億円と堅調です(日本調剤株式会社・IR資料)。大手病院の門前に多く出店しており、全国どこでも同等の運営体制で勤務できる点も強みです。
一方で、規模の大きさゆえの「店舗ごとの労働環境の差」や「現場と本部の温度差」も一部で指摘されています。そのため、企業の表面的な安定性だけでなく、現場の実態も知った上で判断することが重要です。
日本調剤はやばい?実は平均勤続年数は7.8年で長め

結論から言うと、日本調剤は「やばい」とは一概には言えません。平均勤続年数は約7.8年と、調剤薬局業界では比較的長めの水準にあります(就職四季報2024より)。
その背景には、新卒からキャリア形成を目的に入社し、教育制度や経験を積める環境に魅力を感じて一定期間は定着するというパターンが見られます。
ただし、「かかりつけ件数」や「自社アプリ登録」などのノルマへのストレスから、ある程度経験を積んだ3〜5年目薬剤師が転職していくケースが多いとの声もあります。平均値だけで安心せず、中身を分解して考えることが大切です。
日本調剤はやばいと言われる7つの理由

やばい理由①:数字による評価がシビアで年収が上がらない
日本調剤ではノルマなどの数字よる評価が非常にシビアです。特に経験の少ない若手のうちは評価制度に不満を持つ薬剤師が多く見られます。

若手もベテランも同じ基準で評価されるので、ベテランの方が結果を出しやすく若手が不満に感じるのもわかります。
評価はボーナスにも昇給にも直結しているため、向かない人には”やばい”と思う環境になっています。

数字が良ければボーナス額は夏季・冬季1回で手取り100万円ということもあるので、やはり数字次第ですね。
日本調剤の薬剤師の年収をより詳細に解説したこちらの記事もチェック↓

やばい理由②:人手不足(時短・パートが多く正社員負担も大きい)
現場の声で多いのが「人が足りない」という口コミです。特に、時短勤務者やパートの割合が高い店舗では、フルタイムの正社員に業務が集中する傾向があります。
さらに本部は人件費削減の意識が強く、なかなか追加採用に踏み切らないとの口コミも多くあります。この人手不足が日本調剤がやばいと言われている原因の一つです。
ただし、これも店舗ごとに違いがあり、”日本調剤は”という主語は大きすぎるという意見も。実際は人員の補填はエリア・店舗の経営視点での判断となっています。

人手不足となる店舗も中にはあったと思います。
ただ、数字で割れば処方箋の処理枚数は妥当。新卒も確保はできていたので、適正人数以上は入れていない。という状況が正確な見方です。
やばい理由③:休日出勤も多い(土日の希望休も出しにくい)
完全週休2日と求人票には書かれていても、現場では「土日どちらかは出勤」が実質的なルールになっている店舗も多くあります。特に門前薬局は病院の診療日にあわせてシフトが組まれるため、休みの融通が利きにくいです。
店舗にもよりますが、「月に2回の土曜休みが精一杯」との口コミも。希望休が取りにくい職場環境に不満を感じている方も少なくありません。

休日出勤は店舗によります。都心は大変な店舗も多いです。
土日の希望休については、特に店舗の上司・責任者次第というところが大きいです。
やはり良い上司もいれば、自分の休みたい日だけ休んむような悪い上司もいますから…。
やばい理由④:ノルマが厳しい(かかりつけ件数など)
日本調剤はノルマ(目標数値)が重要視されています。マイナ保険証の利用率やお薬手帳アプリの登録率、かかりつけ件数など、数値での目標管理が徹底されています。達成が難しい目標でも、本部からは一律に課せられ、達成しないと評価が下がる仕組みです。
また、数字の出やすい立地の店舗に配属されるかどうかで難易度が大きく異なるため、「配属ガチャ」という言葉も出ています。公平な評価とは言い難い実態があります。

ノルマは厳しいです。
数字の達成度合いでボーナス金額も高くなるので、そう簡単に達成できる数字でもないのは事実です。
やばい理由⑤:残業が多くなる環境
業務量が多く、定時で帰れる日は限られているような店舗もあります。中には、「毎月70時間以上残業していた」という声もあります。

前社長はすべてを薬剤師に。という社風だったので、確かに薬剤師の業務負担は大きかったです。
過去には、45時間を超えると翌月へ繰り越すよう指示されるケースもあったようですが、現在はコンプライアンスが厳しく、残業代の未払などは考えにくいそうです。

都心では0時超えまで残業している薬剤師もいます。ただ、同じエリアで定時上がりというケースもあるので、完全に店舗によります。ちなみに店舗規模が大きい方が遅くなりがちです。
現在はコンプラがかなり厳しいので、法的に揉めるようなものは会社として許していないはずです。
やばい理由⑥:本部の現場に対する理解がない
現場薬剤師の間では「本部は現場の声を聞いていない」との不満が根強いです。たとえば、人手不足が続いているにも関わらず、会議や研修は頻繁に設定され、店舗業務の妨げになることがあります。
また、ノルマ達成が第一であり、達成困難な状況であっても代替案や支援は乏しいとの声が多く聞かれます。

これは0ではないと思います。ノルマが厳しいところからきているのではないかと。
ただ、「理解がない」ほどではないです。本部では複数年での経営計画を店舗や会議・研修に落とし込んでいるので、よく理解すれば納得感はあります。
やばい理由⑦:患者本位ではない指示
一部の現場では「患者本位ではない施策」が指示されているという声があります。これは薬剤師の大きな不満要因の一つです。
たとえば、マイナ保険証利用の促進やお薬手帳アプリの登録、かかりつけ薬剤師の同意取得などは、ノルマ達成のために必要数を求められ、患者の希望が後回しになる場面もあります。
「患者が嫌がっても、アプリ登録をお願いしないと評価が下がる」と話す現場の声もあり、実際に患者との関係悪化を懸念する薬剤師もいます。

これはノルマの影響ですね。たしかに患者さんが希望しない場面はあります。
ただ、会社の指示は国の施策を落とし込んでいるものなので、理解できないような指示ではないです。
現場のノルマ負担でこのような意見があるのかもしれません。
日本調剤が評価されている3つの部分

病院派遣(希望制)があり同給与で病院で働ける
日本調剤には、薬局勤務のまま病院業務も経験できる「病院派遣制度」があります。これは自ら希望した場合に限られ、強制ではない点も評価されています。
しかも、給与体系は薬局勤務時と変わらないため、収入を下げずに病院業務に挑戦できることは大きな魅力です。将来的に病院薬剤師としての道も視野に入れたい人には、非常に有効なキャリアステップになります。
病院業務の経験を積んだ後に薬局へ戻ることも可能で、長期的にスキルの幅を広げたい人にとっては有益な制度です。

非常に良い制度です。同期で使っている薬剤師もいて、現場に戻りたがらないほど。
この制度は病院への”派遣”なので、残業もないんです。なので、働きやすく好条件で病院薬剤師をできる点は大きなメリットですね。
唯一のデメリットは、評価者がいないためボーナスは一定というところくらいでしょう。
教育・研修は充実している
教育体制が整っている点は、日本調剤の明確な強みのひとつです。新卒や若手向けの研修プログラムはもちろん、OJTやeラーニング、フォローアップ研修、外部講師によるセミナーなど、段階的に成長できる仕組みがあります。
2年目から入社した薬剤師は「研修は前社より丁寧だった」と話しており、教育への投資が人材育成の土台になっていることがわかります。

教育や研修は日本調剤の強みですね。
定期的に研修があって、繁忙期はしんどいですが、業務時間内での研修なのが良心的かなと。
店舗マネジメントの研修もあって、研修を通して本当の実力が身につく設計になっています。
自然とスキルは身につく環境
日本調剤は基幹病院の門前に多く出店しているため、症例の幅が広く、難易度の高い処方箋にも日常的に触れられます。そのため、薬剤師としてのスキルが自然と磨かれていきます。
また、在宅業務やオンライン服薬指導など、新たな医療モデルにも積極的に取り組んでいるため、総合的な対応力が身につく点も強みです。
「何年も在籍しなくても成長できる環境」と感じている人も多く、早期に力をつけたい方には最適な職場です。
日本調剤はやばいのか他社比較!

大手調剤薬局の中で、日本調剤が「やばい」と言われる理由をより客観的に把握するには、他社との比較が欠かせません。ここでは特に評価が分かれやすい「年収」「残業」「休日数」「労働環境」「研修・福利厚生」の5点から、日本調剤と他社を比較していきます。
実際に働く上でのリアルな違いを把握し、自分に合った職場を選ぶための参考にしてください。
日本調剤の年収
日本調剤の初年度年収は390万〜570万円程度で、アイン薬局・クオール薬局など他の大手と比較して高水準です。
中途採用年収も400万〜800万円と幅が大きいものの、他社と比較して高年収となっています。
全国職と地域限定職で年収に大きな差があるのも日本調剤の特徴の一つです。

私のときは初任給が手取り24万円だったので、今はかなり上がっています。
薬局名 | 初任給 上:エリア限定 下:全国 | 想定年収 上:エリア限定 下:全国 | 初年度平均年収 |
---|---|---|---|
日本調剤![]() | 280,000円 410,000円 | 3,920,000円 5,740,000円 | 4,830,000円 |

薬局名 | 月収 上:min 下:Max | 想定年収 上:min 下:Max | 想定平均年収 |
---|---|---|---|
日本調剤![]() | 250,000〜 500,000円 | 4,000,000〜 8,000,000円 | 6,000,000円 |


実は、地域限定職の場合は総合メディカルが高年収でおすすめです。以下の記事もぜひ参考にしてみてください。

日本調剤の残業時間
残業時間は月21.7時間と他社より圧倒的に多いです。
ワークライフバランスを重視したい方は、事前に配属先店舗の状況まで確認しておくことが重要です。
薬局名 | 残業時間 |
---|---|
日本調剤![]() | 21.7 |

日本調剤の休日数
日本調剤の年間総休日数は132日で他社よりも少なめです。(アイン薬局・総合メディカルは136日)
特に有給取得日数が10.7日と他社大手よりも少なく、他社の薬剤師よりも休みを取得していない環境と言えます。
薬局名 | 総年間休日数 | 年間休日 | 有給取得日数 |
---|---|---|---|
日本調剤![]() | 132日 | 121日 | 10.7日 |
労働環境編
ノルマに関しては、日本調剤は他社と比べても種類・量ともにノルマが厳しいとの評判が多く見られます。たとえば、かかりつけ薬剤師の件数やマイナ保険証の利用率、アプリ登録数まで日々の目標管理が細かく課されます。
アイン薬局やクオール薬局も数字目標はありますが、日本調剤は「本部主導型」で現場への圧力が強いです。また、人員補填のスピードが遅く、応援や異動でカバーすることが常態化している点も他社より負担が大きい要素です。
ノルマの圧力が苦手な人には、日本調剤は不向きかもしれません。

実はアイン薬局もノルマがきつい調剤薬局です。ぜひ以下の記事もチェックしてみてください。

研修・福利厚生編
研修制度においては、日本調剤は業界の中でもトップクラスです。新卒から段階的に学べる教育体制に加え、eラーニングや現場OJTも充実しており、薬剤師としてのスキルを体系的に積み上げることができます。
薬局名 | 教育・研修制度 | 階層 |
---|---|---|
日本調剤![]() | ・新人集合研修(約1か月) ・オーベン・ネーベンの1年マンツーマン ・5年間・15ステップe-Learning ・在宅・病院実務・専門領域研修 | 新人~中堅~管理職 |
福利厚生も、借上社宅制度や財形貯蓄制度、従業員持株会などが整っており、上場企業ならではの安心感があります。ただし、制度があっても「現場で使いやすいかどうか」は店舗や上司の方針によって変わるため、利用のしやすさは事前確認が必要です。

他社の調剤薬局と詳細に比較をしているこちらの記事もチェック!
【完全版】調剤薬局はどこがいい?就職におすすめの会社ランキング

日本調剤の経験者にインタビュー|やばい口コミ深堀り

日本調剤の口コミをネットで調べると「ノルマが厳しい」「残業が多い」「人手不足」など、気になる声がいくつも見つかります。
今回は日本調剤で働いていた薬剤師ててさんに、日本調剤の“やばい評判”について本音で答えてもらいました。
処方箋枚数は一人当たりどれくらいでしたか?

だいたい40〜50枚くらいです。
総合病院の門前薬局で3000~4000枚/月・薬剤師4〜5人で事務2名の人員体制でした。
数で見れば妥当な枚数かなと思います。
スキルが身につかない会社のための業務はありましたか?

0じゃないですが、多くはないです。
手帳アプリ推進なんかは、スキルアップにはならないですよね。
でも不満が溜まるほどではなかったです。
勤務時間、休憩など働き方に不満はなかったですか?

特にはなかったです。店舗によっては休憩のない店舗もありましたが、大きな会社の割には風通しの良い環境だったと思います。
店舗ごとの「当たり外れ」はありますか?

これは大いにあります。どの店舗に配属されるかで働き方が大きく変わります。都心や大規模店舗は忙しい傾向です。
人間関係で大変だったことは?

幸い、私は特に人間関係では苦労しませんでした。
ただ、大企業なので色々な人がいます。上席者でもクセのある人もいるので、ここは運次第かもしれません。
日本調剤の評価は年功序列って口コミもありますが、本当ですか?

日本調剤はノルマ・数字を追う会社です。年功序列は嘘だと言い切れます。
新卒もベテランも同じ基準での評価になりますし、数字を取れば評価されます。給与に反映される基準も明確で、ボーナス額も昇給率も自分で計算可能なので透明性も高いです。
日本調剤で正社員として働いてよかった点は?

良かった点は、一人前の薬剤師になれることです。転職して気づきましたが、一般よりも高いレベルで日本調剤の薬剤師は仕事をしています。かかりつけの件数も違いますし、加算の取り組み方・知識の広さで差がでます。
日本調剤で正社員として働いて微妙だった点は?

微妙だった点は、キャリアアップには全国転勤が条件になること。狭域職では上に行くことはない点です。それでいて、店舗のいち薬剤師では給料は高くないので、店舗スタッフでは地域の薬局の方が良いかもしれません。
日本調剤に入社したい場合、どんな点に注意した方がいいと思いますか?

のほほんと働きたい人には厳しいかもしれません。
やる気のある人には向いていますが、普通に薬剤師として働きたい人にはしんどい環境かと思います。
日本調剤への就職・転職を迷っている人にアドバイス

自分が何を求めるかだと思います。
上に行きたい、給料を上げたいだと日本調剤は良いかと思いますが、一店舗薬剤師では微妙です。
日本調剤で勉強して、転職という手段もあります。
この記事で日本調剤の雰囲気を感じ取って、自分に合う合わないを感じてもらえればと思います。
日本調剤に向いている人の特徴

日本調剤は誰にでも合う職場ではありませんが、ある一定のタイプには非常に適しています。ここでは、実際に向いている人の特徴を紹介します。
数字を目標にできる人
日々の業務の中で「数値目標を設定し、それに向けて行動すること」にやりがいを感じる人には、日本調剤は非常にフィットします。かかりつけ件数、マイナ登録率、服薬フォロー回数など、明確な目標が与えられるため、数字管理が得意な人にとっては成果を出しやすい環境です。
「数字が好き」「目標を追うのが楽しい」と感じる方であれば、ノルマもプレッシャーではなく、自己成長の指標として捉えられるでしょう。
病院薬剤師を経験したい人
日本調剤の大きな特徴の一つに、同社内で病院薬剤師として勤務できる「病院派遣制度」があります。年収を維持したまま、数年間病院勤務を経験し、その後また薬局へ戻るという有利なキャリア設計が可能です。
この制度を活用すれば、総合病院の処方や医師との連携、病棟業務など、通常の薬局勤務では得られない経験を積むことができます。薬剤師としての視野を広げたい方や、将来的に病院薬剤師の道も検討している方には最適です。
まとめ|働きやすさを求める薬剤師には日本調剤はやばい
日本調剤には、確かに「やばい」と感じられる要素が複数存在します。たとえば、過度なノルマ、過酷な労働環境、人員不足による応援体制の常態化などは、現場薬剤師の大きな負担になっています。
しかし一方で、教育制度の充実、病院派遣制度の存在、症例の幅広さなど、大手企業ならではの成長機会も多く用意されています。特に、短期間でスキルアップを目指したい人にとっては、有意義な職場となり得ます。
結局のところ、「やばい」と感じるかどうかは、自分の価値観と職場の特徴が一致するかに尽きます。安定より成長を取りたい、数字を追うのが好き、病院経験も積みたい──そんな方にとっては、日本調剤は魅力的な選択肢になるでしょう。