企業薬剤師の品質管理とは?仕事内容や年収・やりがいと転職方法を徹底解説

企業薬剤師とは、製薬会社化粧品メーカー食品メーカーなどの医療機関ではない一般企業で働く薬剤師のことです。

この記事では、企業で働く薬剤師の品質管理という職種の仕事内容と転職方法について詳しく解説します。

薬剤師の企業への転職は、求人が少なく選考倍率も高いことから、難しいと言われます。

しかし、中には求人も多く薬剤師が転職しやすい職種もあるので、企業へ応募するのを諦めてしまうのは大きな損です。

実は、企業薬剤師でも品質管理職は薬剤師にとって転職しやすい職種と言われ、業務内容や概要を理解しておくことで転職の成功率は高まります

この記事を読むことで、企業薬剤師の品質管理職への転職がしやすくなるので、ぜひ参考にしてみてください。

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企業で働く品質管理薬剤師の仕事内容

品質管理薬剤師は、製薬メーカーや化粧品会社などで働くことが多く、品質検査やマニュアル作成などの業務を担当しています。

企業で働く品質管理薬剤師の役割は、医薬品や原料の品質を確保すること。

具体的には、原料の入庫から製品の出荷までの工程で、品質に関わる様々な業務を行います。

検査や分析は厳格なGMP基準に則って行われ、ミスの無いように一つ一つ正確に実施します。

企業によっては検査実施ではなく、検査のマネジメントを品質管理職が担う場合も多いです。

ここでは、具体的な品質管理の業務内容を解説していきます。

品質管理薬剤師の主な仕事は品質検査

品質管理薬剤師の主な仕事は品質検査です。

分析業務では、IRNMRなど各種分析機器を利用し、原料や製品の構造解析を実施します。

また、クロマトグラフを用いた分離や分光光度を用いた分析など、他の機器も駆使して最終製品の品質を評価します。

このような検査や解析結果を基に問題がある場合は、原因を追究し改善策を提案します。

品質管理薬剤師は、コミュニケーション能力も重要であり、他部門と連携して品質改善に取り組む役割も果たします。

各種マニュアルなど資料作成も行う

品質管理薬剤師は、各種マニュアルや資料作成にも携わります。

例えば、材料入庫・製造・出荷時の作業手順書や管理マニュアルや、検査に必要な装置の選定などです。

また、医薬品の製造工程において、品質管理部門が監視する品質基準(GMP)を遵守しているか確認し報告する役割も担います。

このような検査以外のデスクワークは業務全体の半分ほどを占めます。

薬剤師が知っておきたい品質管理と品質保証の違い

品質管理と品質保証は、共に医薬品や製品の品質を確保するために必要ですが、それぞれ異なる役割を持っています。

これを理解することで、適切な品質管理を実施することができます。

品質管理

品質管理は、医薬品の製造工程における品質を維持・向上させることが目的です。

具体的には、医薬品や原材料が基準を遵守しているかを確認し、ミスの低減を目指します。

さらに、問題が発生した際には、原因分析を行い、解決方法を模索します。

このような活動により、医薬品の品質を向上させることが目標となります。

品質保証

品質保証は、医薬品の製造だけでなく、製造前の設計から出荷・販売以降も製品の品質を保証する役割を担います。

この仕事では、製造工程、設計、販売など、さまざまな段階で品質基準に沿った製品が完成するよう管理が求められます。

具体的には、製品の成分や出荷前の検証を行い、製品の品質が明確に示されるよう確認するためのスケジュールを立てたり、混同を防ぐために両者間のコミュニケーションを取るなどの業務を行います。

このように、企業薬剤師にも役割によって異なるポジションがあり、企業薬剤師の職種を知ることで転職の成功率は高まります

薬剤師として企業への転職を検討している方は、こちらの記事でも企業薬剤師の仕事内容12種類を詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてみてください。

企業薬剤師とは?12職種の仕事内容を徹底解説!最高クラスの高年収を狙おう!

企業の品質管理薬剤師の年収・福利厚生

企業の品質管理薬剤師は、一般的には安定した待遇や福利厚生が受けられる職種です。

年収や福利厚生にも、業界の規模や企業の経営状況により差がありますが、多くの場合、十分な評価が得られることが期待できます。

品質管理薬剤師の年収

品質管理薬剤師の年収は、企業規模や業界、経験年数によって異なりますが、一般的には500〜750万円程度とされています。

また、厚生労働省が発表しているデータや転職エージェントが行うヒアリングを元にした最新の情報を参考にすることで、最適な転職先を検討することができます。

品質管理薬剤師の福利厚生

品質管理薬剤師の福利厚生は、企業によって異なりますが、一般的には休暇制度や社会保険が充実し、ワークライフバランスが取りやすい職場が多い傾向にあります。

また、女性薬剤師にとっては、育休や産休が取得しやすい環境が整っていることも魅力のひとつです。

薬剤師として働く場合、ドラッグストアや調剤薬局では土日休みが難しいことが多いですが、品質管理薬剤師の場合は土日休みや長期休暇が取得しやすいことも、福利厚生として大きなメリットと言えます。

製薬会社の品質管理はきつい?

製薬会社の品質管理はきついと言われることもあります。

その理由は主に、業務内容と厳格な基準によるものです。

人によってはやりがいを感じにくかったり、ミスできないプレッシャーが負担となってきついと感じるケースもあります。

製薬会社は条件が良いため、求人は人気がありますが、転職前に知っておいた方が良いことはあります。

気になる方は、製薬会社の品質管理は何がきついのか?こちらの記事で具体的に紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。

製薬会社の品質管理はきつい?薬剤師が知っておくべき7つのこと

企業で働く品質管理薬剤師のメリット

企業で働く品質管理薬剤師には、土日休みで働ける、高年収かつキャリアアップにつながる、ワークライフバランスが確保できるといったメリットがあります。

土日休みで働ける

企業で働く品質管理薬剤師は、土日休みで働くことが可能です。

これによりプライベートも充実させることができ、リフレッシュや趣味、家族との時間を大切にできます

病院や調剤薬局、ドラックストアなどでは夜勤や土日勤務が多くありますが、企業で働く薬剤師は週末や長期の休みが取りやすく、ワークライフバランスが向上します。

高年収かつキャリアアップにつながる

企業で働く品質管理薬剤師は、病院や薬局に比べて高年収を得ることができます。

また、企業での勤務経験は他企業への転職もしやすくなり、長期的に高い水準の年収を得られることから、将来のキャリアアップにもつながります。

ワークライフバランスを確保できる

企業で働く薬剤師は、一般的に定時で勤務が終わることが多く、ワークライフバランスが確保できます。

土日休みや長期休暇も取りやすく、予定も立てやすいです。

また、突発的な仕事が発生することも少なく、安定した生活リズムを維持できます

これらと同様のメリットがある化粧品メーカーや美容関係の薬剤師職もおすすめの転職先です。

美容関係薬剤師職にも興味のある方は、以下の記事が参考になります。ぜひ開いてみてください。

薬剤師は美容関係へ転職できる?狙える業種と5つの企業を解説

企業で働く品質管理薬剤師の注意点

企業で働く品質管理薬剤師は、医薬品の品質や安全性を確保する重要な役割を担っています。

しかし、その業務内容には注意点があります。ここでは、品質管理薬剤師が抱える問題点や対策について解説していきます。

ルーティンワークが多い

品質管理薬剤師の仕事は、ルーティンワークが中心であり、一つ一つの作業が単調なことが多いです。

例えば、原料や製品の試験や数値データの分析など、地道で継続的な業務が品質管理にはあります。

このようなルーティンワークは向き不向きがあるため、品質管理を始めてからやりがいを感じられないと考える薬剤師もいるでしょう。

品質管理に転職を検討している薬剤師は、業務内容と待遇のバランスを考慮して、品質管理に応募するか決めると良いです。

コミュニケーション能力が必要

企業で働く品質管理薬剤師は、個人でコツコツというより、チームで連携して品質管理を行います

そのため、チーム内や他部門と連携し、情報交換や意見調整などのコミュニケーションを取ることが重要です。

また、厳密な品質管理体制を維持するために、問題が発生したら適切な報告や対応が必要となります。

個人で黙々と業務を行いたい方にとってはデメリットとなるため、自身に合っているか検討しましょう。

臨床現場に戻る際には苦労する

品質管理薬剤師は、臨床現場から離れた業務に携わるため、再び臨床現場に戻る際にはスキルや知識の再習得が必要になります。

そのため、将来的に臨床現場への復帰を考えている場合は、復帰時に苦労することは覚悟しておきましょう。

臨床現場に戻るには、可能な限り定期的に知識を更新し、スキル維持に努めておくと良いです。

企業で働く品質管理薬剤師がおすすめの人

企業で働く品質管理薬剤師は、一定のスキルや適性が必要とされる職種です。ここでは、品質管理薬剤師に向いている人の特徴について解説します。

長期的に安定して働きたい方

企業で働く品質管理薬剤師は、年収もよく、ワークライフバランスも取りやすい職種です。

また、福利厚生も充実しており、長期的に働くことが可能です。

そのため、安定した就業環境を求める方にはおすすめの職種と言えるでしょう。

薬剤師免許を活かして年収を上げたい方

薬剤師免許を活かし、年収を上げたい方には品質管理薬剤師がおすすめです。

資格を最大限に活用できる職種であり、一般的な薬剤師と比べて年収が高い傾向にあります。

品質管理薬剤師として働くことで、あなたの薬剤師免許が年収の向上に繋がらない悩みを解消し、より充実したキャリアを築くことができるでしょう。

ただし、求人を見つける際は、薬剤師免許が年収のつながる状況を確認し、適切な職場を選ぶことが重要です。

プライベートや家庭を両立しつつキャリアを継続したい方

プライベートや家庭との両立をしながらキャリアを継続したい方には、柔軟な勤務体制を取り入れた企業を選ぶことがお勧めです。

特に製薬メーカー医薬品開発企業では、フレックスタイム制度やリモートワークなど、働きやすい環境が整っていることが多いため、家庭との両立が可能です。

労働条件や福利厚生も充実している企業が多く、長期的なキャリアを築くことが期待できます。

品質管理薬剤師の2つのやりがい

品質管理薬剤師のやりがいは、薬剤師としての専門知識を活かして、製品の安全性や品質を確保することで、企業の信頼性向上に貢献できることです。

また、品質管理薬剤師は、顧客からのフィードバックや市場情報をもとに、製品の改善に取り組むことで、製品開発やサービス向上にも関与できるため、より幅広い知識やスキルを身につけることができます。

薬学知識の活用と向上につながる

品質管理薬剤師の仕事は、薬学知識の活用と向上につながります。

薬剤師が検査や分析を通じて品質管理を行うことで、化学や薬学の知識が活用されます。

また、仕事全般において薬剤師は薬学の視点が求められ、問題の発見や改善策を立案する際にもその知識が活かされます。

この業務を通じて、薬剤師は自身の専門知識を磨くことができます。

消費者の安全を守る役割を担うやりがい

品質管理薬剤師の仕事には消費者の安全を守る役割を担うというやりがいがあります。

企業で医薬品の製造を行っている場合、薬剤師は品質管理の重要な責任を担っています。

患者の健康と安全を守るために、良品の医薬品が消費者に届くことが大切です。

品質管理薬剤師は、自社製品の安全性を確保し、安定した医薬品を提供する役割を果たします。

この仕事は、直接的な患者へのケアではありませんが、消費者の健康を守るブレのない使命感を持って取り組むことが求められます。

品質管理の他にも薬剤師としてやりがいを持って仕事ができる職種は多くあります。

あまり知られていない薬剤師の珍しい仕事はこちらの記事が参考になります。

薬剤師の珍しい仕事7選!異業種レア求人の年収と転職方法を解説

新卒や未経験の薬剤師でも品質管理に転職する方法

新卒や未経験の薬剤師でも品質管理に転職する方法としては、まず基本的な知識やスキルを身につけることが重要です。

その上で、業界の動向や求人情報をこまめにチェックし、適切なタイミングで応募することで、成功率を高めることができます。

そもそも未経験でも企業薬剤師に転職できるの?と気になる方はこちらの記事で企業未経験からの転職方法を詳しく解説しているので、参考にしてみてください。

未経験でも薬剤師が企業へ転職できる?おすすめ5つの職種

こまめに情報収集をする

情報収集が転職活動において重要です。業界の最新動向や求人情報をこまめにチェックすることで、自分に合った企業を見つけやすくなります。

また、業界専門のウェブサイトやSNSなどを活用し、効率的に情報収集を行いましょう。

企業薬剤師に強い転職エージェントの利用がおすすめ

企業薬剤師に強い転職エージェントを利用することがおすすめです。

単純に、企業への転職の成功率が上がるからです。

専門的な知識やノウハウを持つエージェントからは、適切なアドバイスももらえますし、転職活動を効果的にサポートしてくれます。

また、非公開求人などの情報も得られるため、公開求人よりも競争率が低く条件の良い求人に応募もできます。

企業薬剤師として品質管理に応募する際には、転職エージェントの利用を検討しましょう。

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品質管理薬剤師に関するQ&A

品質管理薬剤師に関するさまざまな疑問や悩みはこちらで解決しましょう。

専門家や経験者からのアドバイスや解決策を紹介します。

転職を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

品質管理になるのに語学力は必要?

品質管理において語学力が必要かどうかは、必須ではないですが、あれば尚良です

基本的には、国内での仕事が主であれば語学力は必須ではありませんが、最近は医薬品や原料を海外から調達する機会も増えており、各種検査や試薬の書類を読み解く際に英語力が求められることがあります

また、製造や開発の場においても、国際基準に沿った品質管理が重視されており、英語での論文や資料を読解する機会が増えています

さらに、他国のスタンダードを学ぶための出張や、海外の品質管理担当者との話が発生することもありますので、英語力は必須ではないですが、あればプラスに働くでしょう。

派遣の品質管理薬剤師もある?

派遣で品質管理薬剤師として働くことも可能です

派遣社員として働く場合、HPLCや高速液体クロマトグラフィー(QC)などの専門技術を活かして、企業の最前線で品質管理の仕事を担当することができます。

具体的な業務内容としては、試験を行い、資料の作成やチェック、指示に従った業務などが挙げられます。

派遣薬剤師は正社員に比べて雇用形態が異なるため、給与や福利厚生面での違いがあるものの、経験やスキルを活かしやすい環境が整っています。

品質管理職は子育てもしやすい?

品質管理は子育てを両立させやすい職種と言えます。

品質管理職の仕事は、定時勤務が多く、残業が少ないため、子どもの送り迎えや家庭の事情に柔軟に対応できる環境が整っています。

また、場合によっては土日休みや、産休・育休制度が整った企業もありますので、子育てをしながら安定した働き方が可能と言えるでしょう。

まとめ:企業薬剤師の品質管理からのステップアップ

品質管理業務で培った知識や経験は、薬剤師としてのキャリアパスにおいて大きなステップアップのチャンスを生み出します。

品質管理から製造や研究開発部門への異動も可能であり、多様な業務に携わることでスキルを磨くことができます。

さらに、マネジメントや経営層への昇進も視野に入れたキャリアアップが考えられます。

企業薬剤師として、品質管理を検討している方は、他の記事もぜひ参考にしてみてください。